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カテゴリ:読書記録─小説・ノンフィクション
「友がみな・・」の続編です。前作よりも取材対象の「普通さ」がアップしてるように感じました。
あくまで人の人生を静かに眺めるだけで、この作者は自分の意見を披露しようとしません。 読んでるとこっちはイライラさせられっぱなしなんですよ。 「そんなしょうもないことでグズグズしやがって」 「人に求めてばっかりじゃねえか」 「そんな詐欺まがいがお前の『仕事』か」 ・・・なんて。 でも人生なんだ、って作者に諭されてしまう。 ともすれば他罰的になってしまう「他人の人生」への視線。特に今日では「家族」がその槍玉に上げられることが多いような気がします。 朝から晩まで働いたら「家事は奥さんにまかせっきり」 家事を完璧にこなそうとすれば「イエの奴隷」 老親の介護に尽くせば「社会福祉システムを遅らせる」 定年すれば「粗大ごみ」 ・・・こんなのを真に受けてればまるで救いがないような気になるけど、そんなの全部無視していいんだ。 「良い」も「悪い」もあるもんか。 「人生」があるんだ。 本書に、作者自身のことについて書いてある章があります。 自身のインポテンツ体験を軽やかに書いたもので、一読したときははっきり言って異様な感じがしました。 それまで、作者のことを「観察者」として見てたからです。一人称は似合わない、と思った。 でもそれは間違いでしたね。 究極の「他人の人生」は自分自身なのかもなあ、と。 喜びは悲しみのあとに ( 著者: 上原隆 | 出版社: 幻冬舎 ) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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