カテゴリ:ペテルブルクの暮らし
大学のロシア語の先生たちには
授業さぼってペテルブルクに遊びに行ったと思われていますが 今回私は、ここにあるルギアという文書館に調べ物に来たのです。 文書館とは何かと言うと。 我々は歴史の教科書やら授業やらで習って、 「794年に平安京遷都があったんでしょ。知ってる知ってる」 といった具合に昔のことを認識していますが、 よく考えてみれば、実際に見た人は誰もいません。 じゃあ教科書はなぜ昔のことを事細かに書けるかといえば、 歴史学者たちが丹念に書きためた膨大な研究論文を参照するからです。 では歴史学者はどうやって昔のことを知るのか? それは、その当時の文書をたくさん読むことによって可能になります。 文書館というのは、そのような昔の文書が保存されている場所です。 (ちなみに「ぶんしょかん」ではなく「もんじょかん」と読みます。) ルギア(「ルースキー・ガスダルストヴィエンヌイ・ イストリーチェスキー・アルヒーフの略称; ロシア国立歴史文書館)は、ネヴァ河に面し、 エルミタージュとピョートル大帝の「青銅の騎士」像の並びという、 都心も都心のど真ん中にあります。 というのも昔ここは、元老院だったから。 この立地の素晴らしさが災いして、 今、当局はルギアの移転を計画しているらしい。 ここの職員たちが強く反対し、抵抗しているようですが いつ閉鎖されてしまうかわかったものではありません。 そういうわけで今回、私も慌てて来てみたというわけです。 たしかに都心の超一等地にある由緒正しき大きな建物を 背を丸めて一心不乱にぼろぼろの紙をめくる研究者だけが利用するのは ちょっと不自然なことなのかもしれません。 「なにも歴史家は窓から青銅の騎士像など見なくたっていいのだ」 というのが当局側の言い分のようですが、 そもそも歴史家たちは作業に集中するあまり、 窓の外など見ていません。あまり辺鄙な場所でなければ、 まぁここでなくてもいいのかもしれない。 けれども、移転の作業で文書が痛んだり、 なくなったりする危険は充分あります。 また、移転が完了するまでに4年も5年も閉鎖されてしまったら、 こちらは商売あがったりです。 それに移転させたからって、その後ほんとうに 有効活用できるのかしら? と、チョコレート博物館と蝋人形館という いけてない観光地的見世物が入った都心の他の建物を見ると 思ってしまうのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2004/12/12 06:52:53 AM
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