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ロンドン日常編(旧ドイツいろいろ編)

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2009年11月19日
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カテゴリ:独り言
ロンドンへ引っ越す前からずっと心に引っかかっていた殺人事件。この事件の裁判の判決が、偶然、私がドイツ滞在中にくだされました。

すでに裁判の結果はドイツ国内でも報道されていたので、事件をご存知の方も多いと思いますが、実際に殺人事件がドレスデンの裁判所で起きたのは、7月のことでした。当初は、ドイツ人男性がエジプト人女性を裁判中に刺殺するというショッキングな事件にも関わらず、それほどドイツ国内でも報道がされていなかったのです。

私が読んでいたニュースサイトでも、小さな記事として載っただけだったのですが、この後、犠牲となったエジプト人女性の母国、エジプトでこの事件に対するドイツ国内での扱いに不満を持ったエジプト人および、エジプト在住のドイツ人ジャーナリストの記事などにより、報道が過熱したのが、事件が起きてから2週間後くらいだったと記憶しています。

しかしこの事件、詳細が報道されるとドイツ国内でも事件内容のショッキングさに、多くの人が事件に注目するようになったようです。というのも、まず法廷内で殺人が起きたこと。また、その被害者が妊娠中だったこと。そして、その殺人はなんと被害者の女性の3歳の息子さんの目の前で起きたということ。

そして、彼女は犯人に16箇所もナイフで刺され死亡したのですが、このとき彼女を助けたのは、ただ一人、彼女の夫だけだったのです。しかも、彼女の夫は駆けつけた警察官に殺人犯と間違えられ、足を撃たれ大怪我をしたのです。

なぜこんな事件が起きたのか。それはまた別の告訴がきっかけとなっていました。この殺害された女性はエジプト人でしたが、科学者の夫の仕事の関係でドイツのドレスデンという町に暮らしていました。

昨年の夏、彼女が息子さんを連れて近所の公園へ行くと、そこにいたのがこの犯人だったのです。彼女は、後に犯人となる男性に、自分の息子のためにブランコを譲ってくれないかと頼んだのですが、返ってきた言葉は・・・テロリスト、売春婦など彼女を冒涜する言葉・・・

そこで、彼女はこの男を訴え、男は罰金の支払命令を受けたのですが、そのことに対し不服を申し入れていた男と彼女が、殺人現場となった法廷で再度、顔をあわせることとなったのです。そして、この悲劇が起きてしまったのです・・・

実はこのとき、犯人はすでにナイフをリュックに入れて入廷したのですが、なぜ裁判所に凶器を持って入ることができたのか。それは、この裁判が行われた場所では凶器のセキュリティチェックがされていなかったんだそうです。

この事件の数ヶ月前に、ミュンヘン郊外でも同じ種類の裁判所で、遺産相続の裁判中に男性が義理の姉妹と弁護士を銃で撃つという事件があったばかりなのに、なぜ裁判所でのセキュリティが見直されていなかったのか、もし、ここでこの男がナイフを持ち込むことさえなければ、彼女は殺されることもなかったと思うと、本当に悔やんでも悔やみきれることではありません・・・

この事件が起きてからしばらく、報道を注意してみていたのですが、なぜ私がこの事件にここまで関心を持ったかというと、この事件の発端が少なくとも、この犯人のドイツ在住のイスラム教徒や外国人に対する差別や反感からきていると思うからです。

犯人についてドイツ国内では「ロシア生まれのドイツ人」として報道されていますが、こう書かれているといかにもロシア人でドイツに移民してきた人のように感じられますが、元々この犯人はドイツ系だそうです。

ドイツでは、民族的にドイツ人である場合、国外からドイツ国内へ戻ってきた人たちはドイツ国籍の復帰ができるそうです。ドイツが東西に分かれていたとき、旧東ドイツからロシアや東ヨーロッパへ流れていったドイツ人も、壁がなくなってからドイツへ戻ってくると、ドイツ人として迎えられたそうです。

この犯人は2003年にドイツへ戻ってきているということは、他民族として移民してきた場合、ドイツ国籍を取得するにはもっと時間がかかると思いますが、元々ドイツ民族のため早々に国籍が復帰されたのでしょう。ただ、こういった他国へ流れていったドイツ民族系外国人が、ドイツへ戻ってきてドイツ国籍を復帰させたとしても、必ずしもドイツで幸せな生活ができるわけでもないのでしょう。

この事件の引き金になった犯人の差別主義というのは、単なる異民族に向けられた敵意としては片付けられないと思います。実際に、彼は仕事もなく生活保護で生活し、友人も少なくドイツ語もあまり話せなかったという説もあるため、異民族ながらドイツで幸せに暮らしていた外国人に対して他意があったのかもしれません。

とはいえ、この事件・・・法廷内でなぜ彼女が16箇所もナイフで刺されている間、助けようとする人が彼女の夫だけだったのか。なぜ駆けつけた警察は、彼女の夫を犯人と思い込み発砲してしまったのか・・・こういったことを見ても、ドイツ国内で外国人および、イスラム教徒に対す偏見があるような気がしてなりません。

余談ですが、彼女の夫は、ドレスデンでPhDをしていたのですが、偶然にもクリスチャンが出張先で、彼の教授だった人に会い事件について教授と話をしたことがありました。彼女の夫は事件のあと、怪我の具合がよくなるとすぐエジプトへ戻り、本来はPhDをしたドレスデンで受けなければならない終了試験を、試験官を務めた教授たちがエジプトへ飛び、試験を終了することができたそうですが、現在はまだ車椅子の生活をしているということです。

そして、こういった事件があったにも関わらず、殺害された彼女の親族が彼女の亡骸にあうためドイツへ来る際、なんと親族へ対するビザがなかなか許可されなかったんだそうです。現在、西ヨーロッパでイスラム教徒がフランスについで2番目に多いと言われるドイツですが、そのためイスラム圏からの入国は厳しくなっているとはいえ、なぜ親族がすぐにドイツへ来れなかったのか・・・(そのためこの教授は八方手を尽くしたそうです)

今回、ドイツに現存する刑では最も重い終身刑(減刑される可能性はないということです)という判決がくだされましたが、犯人が精神病を理由にロシアで軍を脱退させられていた事実や、最初に公園で彼女が冒涜されていたときに、助けとなる人がいなかったのか・・・そういったことを考えると、犯人が重刑を課せられたことで決着がついたとは思えません。

この殺人事件の背景には、多くの人の無関心や偏見、差別などいろいろなことが見えてきてなりません・・・





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Last updated  2009年11月20日 00時54分09秒
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