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カテゴリ:連載小説
と、カケスは大きな口で小鳥を丸飲みしてしまいました。
・・・・。 なんて、それは嘘。 かけすが大きな口を開けたら、小鳥は振るえて、気絶しそうでした。 ―ふふふ・・、気をつけなくちゃね、どこでも危険が一杯。 びっくりしたかい。ちょっと冗談さ。 君はきれいな物がほしいのかい。 驚いてのけぞった体をなんとか持ち直した、灰色の小鳥は答えました。 ―ええ、私の羽は灰色で、映えないの。 とカケスの鏡で姿を映す。 ―ほら、みっともない羽でしょ。 ―そうは見えないけれどね。灰色だって素敵じゃない ―でも、嫌いなの。 ―そうか、好きずきだからね。まあ。君の言うのももっともだ。そうだ、良いことがあるよ。下を見てごらん。 樫の木の下を覗いてみると、杖をついたおばあさんが歩いていました。大変な年寄りのように見えます。おばあさんはゆっくりゆっくり歩いていました。その上、杖をついていない方の手には重そうな袋を下げていました。 ―おばあさんが歩いているだけじゃない。 ―よーくみてごらん。肩のショールがずり落ちそうだろう。 ―あら、本当。きれいなピンクのショールが今にも落ちてしまいそう ―おばあさんのところへ飛んでいってごらん。 ―どうして、 ―今日は風が冷たい。ショールがないとおばあさんは風邪を引きそうだ。君があのショールを直してあげるんだよ。 ―自分で直せるでしょう。 ―おばあさんは、足が悪い。袋を持っている手だって不自由なんだよ。さっきから直したいと思っているけれど、杖を置いて、袋を置いて、大変な作業になってしまう。困っているところなのさ。君がクチバシでつまんでかけ直してあげるときっと喜ぶと思うよ。 小鳥はなんでこの私が、と思いました。買い物にきただけなのに。 でも、うつむいてゆっくり歩くおばあさんをみているうちに、ふっと思いついたように、飛び立つと、おばあさんの肩にふわりと留まりました。おばあさんは突然小鳥が肩に留まったのに、驚きました。 ―まあ、小鳥さん。どこからきたの。 (明日に続く) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.09.17 07:24:33
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