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ほんわか介護とほんわか心

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2005.09.20
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カテゴリ:連載小説
―いやいや、ほら向こうからくる娘さんをみてごらん。
―おや、なかなかきれいなお嬢さんだね。でも、なんだか歩き方がおかしいな。
―彼女は、目がよく見えないんだ。目の病気でね、その病気は、視野が少しづつ狭まっていって、最後に見えなくなってしまうのさ。
―目がよく見えないのに、なんで一人で歩いているんだ。危ないじゃないか。
―少しでも見えているうちに、この村の景色を覚えておこうと、歩いているのさ。でも、今日、この樫の木の下を通った時、彼女は本当の暗闇の世界に入ってしまうのさ。
―ええ、それはどういう事。本当なのか。
―確かなことさ。ストンと真っ暗な世界に入っていくのさ。そう、視野がシャッターを降ろしたように閉まるんだ。
―それが本当なら可哀想に。まったく見えなくなったら、この先どうやって生きていくのだろう。
―可哀想だと思うかい。思うだけで何もしないのかな。
―僕は鳴き声を買いに来た客だよ。人助けにきたのじゃない。それに、何をしたらいいんだ。目医者じゃないんだぜ。

 樫の木の上で、鳥たちがそんな話をしているとも知らず、娘さんは樫の木の下にやってきました。
―まあ、大きな樫の木、大きすぎて、あたりを真っ暗にしているわ。今日は良い天気のはずなのに。すっかり真っ暗よ。
 娘さんは樫の木の根本に腰掛けました。
―きっと、歩きすぎて、時のたつのを忘れてしまったのね。もう夕方なのよ。いいえ、夜になってしまったのだわ。でも、おかしいわ。さっきまで、この樫の木が遠くからでもぼんやり見えていたのに。太陽の光だって見えていたのに。突然夜になるなんて。
 
 樫の木の上では、娘さんの独り言を聞いて、カケスが言っていました。
―ほらね、聞いただろ。とうとう彼女の目の視野が閉じてしまったのさ。
 
 虹色の鳥はなるほどと、うなづきました。

しばらく休むと、娘さんは幹に手をつきながら立ち上がりました。

 ―夜になってしまったのなら、早く帰らなくてはいけないわ。でもどうやって帰ればいいのだろう。何も見えない。どちらが村の方なのだろう。
娘さんは両手を前にさしだし、探りながら歩き始めました。木の根は張りだしているし、石もあるし、1,2歩進んだだけで転びそうです。
虹色の鳥は思わず娘さんの側へと飛び降りました。

―まあ、何、何かが落ちてきたわ。

ビビビと虹色の鳥が鳴きます。





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Last updated  2005.09.20 16:12:06
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