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カテゴリ:連載小説
―みてごらん。芽が出てきたよ。とうとう芽が出てきたよ
農夫は大喜びだった。始めは小声で歌い、そのうち大声ででたらめな歌を歌いながら踊り出した。緑の小鳥もそれをみて自分の事のように喜んだ。農夫の廻りを一緒に歌いながら飛び回った。 小さな双葉は伸び始め、立派な苗に育っていった。 荒野はやがて緑の畑に変わっていったのだった。 農夫は緑の小鳥を上着の大きなポケットにそっと入れた。ポケットの中には、蒔こうと思っていた種の残りが入っていた。 ―もう、蒔かなくてよくなったから、この種は、思い切り食べていいんだよ。これから、お腹がすいたら、いつでも、私の所にきておくれ、お腹一杯食べさせてあげよう。緑の小鳥さん。秋にはきっと沢山の収穫があるだろう。私も小鳥さんの一家ももう飢えなくてよくなったんだ。 カケスはあの荒れた野が、見事なほどの緑一杯の景色に変わり、すっかり満足しました。 ほら、私の店には、ないものはない。美味しい物だって売っているだろう。 嘘は言わない。カケスのデパート。ないものはない。これなら、私も秋になったら、あの畑から少しばかり貰ってもいいだろうな。 こうして、カケスの店はそこそこ繁盛していましたが、誰でも彼でも満足させられるというわけにはいかないものなのです。 それは、こんな客の話です。 (4話へと続く) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.09.25 16:13:23
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