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カテゴリ:BOOK REVIEW
モーターサイクル・ダイアリーズ by エルネスト・チェ ゲバラ
赤いキリストと呼ばれ、キューバ革命をカストロと共に導いたチェ・ゲバラ。その彼の若き日の南米旅行記。チェ・ゲバラは密かにマイヒーローの一人なのですが、誕生日が一緒というのが多いにある。(ちなみに旦那はカストロと二日違い) そんな革命家の片鱗はみじんも感じさせない、ほのぼのとした一冊だった。瑞々しい感性に溢れた、24歳の医学生ゲバラと親友との珍道中。そう、珍道中という言葉がふさわしい、ドタバタコメディ風ドキュメントだった。本当にあのゲバラ?と疑問を感じるくらいギャグのオンパレード。箸がころんでもおかしい年頃というか、何でも楽しくおかしく感じる年代だったのだろう。オンボロのバイクにまたがり、未知の世界を開拓するのだから、その興奮がリアルに伝わってくる。ユーモアたっぷりの文章を通して。 それにしてもみんなよく食べて(肉ばっかり)よく飲むなぁ~。チェ・ゲバラと親友は行く先々で食事と宿を提供してもらうのだけど(交渉する時の心境の描写がウマイ!)幸運にも手厚いもてなしを受けた時は、酒池肉林(肉= 各地の診療所、インディオや黒人集落を訪れ、南米全体が抱える問題に直面していく。インディオのように、全く異なる文化や風習を持つ人々と接触するってどんな感じだろう?しかも陸続き。アルゼンチンの都会から出てきたゲバラが、インディオたちと触れ合った時の新鮮な興奮に興味津々。彼を革命へとかりたてたのは、結局そういう貧困や病にあえぐ人々との出会いがあったからと言われる。 本の巻末には革命後のキューバでの演説が掲載されていて、そこにはおちゃらけた青年の面影は全くない。こんな何十年も前から反米主義を唱えてたんや、と改めて思う。中近東では同じような動きが見られる今日この頃。 先月何度かカストロをテレビで見る機会があった。療養中のニュースやったけど。ゲバラなき今、カリスマはこの人しかいないと、あの白鬢を見るたび胸が熱くなるのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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