私:新聞や雑誌で書評をみて興味が沸くと、インターネットで図書館に予約する。
書評に載るような本は大抵、1ヶ月か2ヶ月くらい待つようになる。
だから、どの書評で興味を持ったのか忘れている。
今度から、予約の動機になった書評はメモを取ることにしたよ。
A氏:そう言えば、君が最近、図書館で借りている新刊本は、2ヶ月くらい前に刊行されているものが多いね。
待ち時間のせいなんだね。
私:図書館で貸し出し準備ができると、メールが来るのでウオーキングを兼ねて、20分くらい歩いて図書館に行く。
だから、本との最初の出会いは、図書館での貸し出しカウンターだね。
読みやすい本かどうかは、そのときにはじめて分かる。
この方式の欠陥は、借りる前に本をパラパラめくれないことだね。
A氏:インターネットで本を買う場合は、シマッタ
となるが、図書館の場合、借りるのだから実害はないのではないの?
私:それでも借りた以上は、目を通さないとね。
この本はパラパラめくってみたら「『何とか的』という難しい漢字が沢山あるような専門的なタイプの本」だったね。
ただ、後半から、毛沢東の文化大革命という具体的な話が中心になったので、その部分は抵抗なく読むことができた。
特に中国学者の竹内好氏に対するコメントが分かりやすかったね。
A氏:竹内氏は毛沢東の文化大革命を礼賛した人だね。
私:竹内氏が文革を礼賛した背景に、当時の日本の対米依存、公害など工業化のひずみ、日本の伝統の放棄などの戦後日本への批判が「鏡」のようにあるというわけだね。
A氏:それで「鏡の中の日本と中国」というわけか。
同じアジアの国として、西洋の攻勢に対応していかないという宿命は同じだからね。
私:毛沢東が何故、中国に共産党政府の樹立が成功できたかについては、諸説があるようだね。
この本ではないが、日本社会党の佐々木氏が戦後に中国を訪問したとき、毛沢東にあった話があるね。
このとき、佐々木氏は日中戦争中に日本が中国を侵略したことを謝罪しようとしたら、毛沢東は「いや、日本には感謝している。日本軍のために国民党政府軍を追い出せ、人民政府を樹立できた」と感謝の握手をしたという。
A氏:毛沢東は、「持久戦論」で広大な中国大陸では持久戦で中国は負けないとしており、日本は国際的に孤立していくことを予測しているという。
私:著者は毛沢東時代の中国は、驚くほど戦前戦中の日本と酷似しているという。
1つは「勝利」の確信で、これにより欧米近代化モデルに追いつき、追い越すことが出来という見方。
2つには、国家の物質力強化を重視しながら、「一君万民」のカリスマ崇拝を中核においたこと。
A氏:日本では天皇と神道、中国は毛沢東とその語録だね。
私:しかし、独裁国家ではカリスマと民衆を結ぶ官僚組織が必要だね。
中国共産党の場合は、共産党組織だね。
日本では1938年の国家総動員法の公布や1939年の大政翼賛体制の確立だね。
しかし、中国の近代化を「欧米近代化」モデルで進めることを毛沢東はとらず、人民公社など中国独特の方法で行う。
これにより、10年後にはイギリスに追いつくという目標を立てる。
A氏:これは二千万人の餓死者を出して失敗する。
私:毛沢東は後退し、党の官僚組織で「欧米近代化」モデルにそった改革を進め出す。
これに対し、その官僚組織の破壊を目的としたのが文化大革命だね。
トウ小平など「欧米近代化」モデルにそって改革をしようとした幹部は左遷される。
その文革の失敗で、トウ小平の「欧米近代化」モデルにそった改革は復活して現在に至っているというわけだね。
A氏:同時に、日本の高度成長と同じで「欧米近代化」モデルがもたらす公害が出てきた。
むしろ、所得格差の拡大、拝金主義は日本を追い越して進んでいるね。
私:中国の食品衛生の問題が出ているが、日本でも同じで、今週の「週刊朝日」では「中国食品を笑えない・吉兆よ、おまえもか!」と食品偽装問題をとりあげているね。
そういう意味で、東洋が西洋化するプロセスの悩みは日中同じで、「鏡」のような関係かもね。
90年代の日本のバブルとその崩壊も中国の今後を占う「鏡」になっているのかもね。