A氏:鳩山総務相の問題提起を契機に、「かんぽの宿」のオリックス一括売却が白紙撤回になったね。
これが郵政民営化の実施段階の明暗をクローズアップしたことになったね。
この問題について、政治アナリストの伊藤淳夫氏、道路公団の民営化推進委員で最後に事業を叩き付けた田中一昭氏、若手でメディア論の荻上チキ氏の三者がそれぞれ、違った立場で意見を言っているね。
私:伊藤氏は、政治アナリストらしく、この問題を政局とからめているね。
しかし、鳩山氏はテレビ対談で「『かんぽの宿』の売却に疑問を持ったのは、最初は『勘』だ」と言っている。
だから、伊藤氏のいうように、麻生首相の小泉路線の否定戦略の一環だという深読みは当らないのでないかと思うがね。
ただ、どんな政策もいったん決定されると国民は関心を失ってしまう。
それが今回の問題で、その後の経過も注意すべきだという教訓を国民に改めて理解させるという効果があったとしているね。
たしかにそうだね。
俺も民営化は政策として決定した以上、うまくいっているもんだと思っていたね。
A氏:郵政民営化で小泉路線が選挙で大勝したが、それが実行されつつあるときこそ、実は目を離してはいけないんだね。
ところで、君がタクシーの規制緩和をこのブログで追いかけていたね。
郵政の民営化と比較すると、小さい問題だが、これも規制緩和後の追いかけと、その結果責任についてあまりマスコミも重視していないね。
同じパターンだね。
私:その点、道路公団民営化で官僚出身でありながら、道路官僚の抵抗にあった田中氏の意見も同じだね。
国鉄の民営化は当時の中曽根首相のリーダーシップがあった。
しかし、道路公団民営化では官僚の抵抗が強くなり、中曽根政権とちがって、傍若無人になったという。
A氏:道路民営化推進委員会委員長代理であった田中氏は、最後に当時の小泉首相に抗議の辞表を叩きつけてやめるね。
私:田中氏は、同じように郵政民営化にも警告を発しているね。
「郵政国会」「郵政選挙」で国民の多くは民営化を支持した。
だが、実際の成果はその後の改革の中で見えてくるものだとしているね。
その全体像を理解した中で「かんぽの宿」問題を論ずるべきだとしているね。
A氏:すでに、民営化してからの問題が今になって「かんぽの宿」を皮切りに、婚礼・宿泊施設の「メルパルク」売却問題、東京・大阪の局舎保存問題も出てきた。
私:田中氏は、道路公団民営化のような中途半端な幕引きに終わる「改革劇場」の二の舞は避けるべきだとしているね。
氏の意見は「背後で生殺与奪を握る官僚」と見出しにあるように、郵政民営化も背後に何かがあるような「勘」がするね。
タクシーの規制緩和だって、結局、料金値上げの結果となっているし、さらにもとの台数規制に戻すかという官僚の動きもあるようだね。
最初から、規制緩和に抜けがあって、結局、これは失敗になったが、その規制緩和の反省も結果責任の追求もないね。
A氏:道路民営化、郵政民営化も何のために、誰のためにやったのか、政策決定後の実施を追わないと決着はついていないんだね。
派遣労働の規制緩和もそうだね。
国民はそれを知らないといけないね。
私:ネットに詳しい荻上氏は、「かんぽの宿」騒動は、マスコミに取り上げられた割にはネットでの反応は乏しいという。
その理由として、「かんぽの宿」では誰をたたくべきか判然としないという。
官僚は顔が見えないからね。
A氏:それはマスコミの「問題設定が甘い」からではないのかね。
タクシーの値上げ問題のときと同じだね。
誰もあまり怒っていない。
君くらいかね。
私:荻上氏は、問題設定の「ゆるさ」と言っているけれどね。
大きな「構造改革」の動きの「背後の巨悪」が見えないからだろうね。
道路公団の民営化で敗北した、田中氏には見えたんだろうがね。
そういえば、竹中平蔵氏は「かんぽの宿」問題は、民間出身の西川社長の追い落としのための官僚の動きが背景にあると言っていたね。
郵政民営化の評価は今、まさに問われているようだね。