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私:森友学園騒動で「忖度」という言葉が飛び交っているが、小学校の道徳が2018年度から教科書を使うようになり、その内容問題が教科書検定で登場したね。 これを今月の「池上彰の新聞ななめ読み」でとりあげているね。
A氏:道徳が小学校に導入されたのは1958年。 当時、「最近の子どもたちは道徳観念が薄れている」と声高に主張する人たちがいたためだというが、「戦後版教育勅語」になってはいけないという警戒心も強く、教科書を使う「教科」にはしないという条件で始まり、これが「教科外の活動」という位置づけの理由。 ところが、2018年度から「特別の教科」という位置づけに格上げされ、文科省検定教科書を使い、成績評価も実施されることになった。 58年に道徳を学校教育に入れさせた人たちの目標が、ついに達成され、「『教育勅語』にはいいことも書いてある」などという政治家が存在する時代だからと池上氏は皮肉っているね。
A氏:検定結果で池上氏が驚いたのは、小学校1年生の「にちようびのさんぽみち」という教材で登場する「パン屋」が「和菓子屋」に教科書検定で書き換えられていたという朝日新聞の記事だという。
私:俺も驚いたよ。 別の教科書会社だが、同じく小学校1年生の「大すき、わたしたちの町」という教材では「アスレチックの遊具で遊ぶ公園」を「和楽器を売る店」に差し替えたという。
A氏:なぜ「パン屋」ではいけないのかというと、朝日の記事によると文科省の説明では、「『パン屋』がダメというわけではなく、教科書全体で指導要領にある『我が国や郷土の文化と生活に親しみ、愛着をもつ』という点が足りないため」という。 文科省の指摘を受け、教科書会社は「和菓子屋」に書き換え、検定を通り、「アスレチック」も同様の指摘を受け、教科書会社が「和楽器を売る店」に改めた。
私:ただ、文科省が「和菓子屋」や「和楽器店」に書き換えさせたのではなく、教科書会社の方で「忖度」したということらしい。
A氏:「忖度」の登場だね。
私:文科省は細かい点を指摘し、その後の修正は教科書会社に任せ、その結果、教科書会社は文科省の顔色をうかがって「忖度」し、「和菓子屋」や「和楽器店」を持ち出す、という構造になっていると池上氏は指摘する。 小学校の道徳で教えなければならない項目は、学習指導要領で学年により19~22項目あり、その中には「個性の伸長」という項目もあるが、教科書会社に「忖度」させて、内容をコントロールさせるというやり方には、個性の出番はないと池上氏は鋭く指摘する。
A氏:この問題で池上氏は、3月29日付東京新聞朝刊の「本音のコラム」での文芸評論家の斎藤美奈子氏の記事を引用しているね。 斎藤氏は次のように鋭く喝破している。
「日本のパンの元祖は、幕末の伊豆韮山の代官で兵学者でもあった江川太郎左衛門が兵糧として焼いたパンだったこと。明治初期に木村屋が開発したあんパンは発酵に饅頭用の酒種を使ったこと。一方、和菓子は遣唐使が持ち帰った中国の菓子にルーツを持つこと。和菓子の発展を促した茶の湯も、栄西が大陸から持ち帰った茶からはじまること。つまりどちらも郷土というより国際交流のたまもので、両者の間に差などない」
私:池上氏は「郷土のことをよく知らないのは文科省なのかも」と皮肉っている。
それにしても、森友学園騒動で、幼稚園で明治の「教育勅語」を幼稚園児に暗唱させていたのが、問題になったが、これを「『教育勅語』」にはいいことも書いてある」と言った大臣がいたようだが、それは「『教育勅語』の歴史に無知なこと」を示しているね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017.03.31 16:54:06
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