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私:クルーグマン教授はいつも厳しいトランプ批判をしているが、今回は、このコラムでは、共和党指導者・ポール・ライアン下院議長を減税問題で厳しく非難している。
A氏:今回のコラムへの教授の寄稿は11月3日のものだが、その後の7日に、米紙ワシントン・ポスト(電子版)が、米上院共和党の指導部が法人減税の大半の実施を1年延期することを検討していると報じ、ドル売り・円買いが優勢となり、日経平均は一時350円超下落と報じられているね。
私:共和党案の減税案の1年延期という背景は、その4日前のこの教授のコラムを読むと「さもありなん」と理解できるね。
そこで、教授のコラムでの批判にもどると、米下院共和党は11月2日、税制「改革」法案を発表したが、準備する時間は何年もあったのに、共和党はぎりぎりまで待ってから、公聴会も本格的な分析も一切せずに、大急ぎで形にしたという。
この法案は、企業や富裕層(特に富裕な相続人)に対して大幅な減税をもたらす一方、新たな租税回避の機会も非常に多く与える。 この大減税が、トランプ一族に利するように特別に設計されていると考えても、そう間違いではないだろうと教授はいう。
A氏:だが、こうした大減税は、予算に何兆ドルもの大穴を開けるから、共和党は、赤字の拡大を抑える「穴埋めになるもの」を見つけようと苦労していて、彼らがひねり出したのは、州・地方税の控除の一部廃止、住宅ローン利子控除の制限などの雑多な寄せ集め。 こうした施策の主眼は富裕層の減税分を埋め合わせることにあるので、多かれ少なかれ必然的に、多数の中間層世帯の増税になる。
私:当然、住宅建設業者や中小企業のロビー団体などの一部の重要な利益団体は、すでに反対を表明している。
教授は、いずれにしても、今のような形で法律にするのはまず無理だろうという。 この法案は確実に長期的な財政赤字を引き起こすが、そのような税制法案は賛成が60票未満では上院で可決できないし、実際には、上院の過半数さえ得られないかもしれないという。
A氏:準備期間は何年もあったのに、この失態は、7年前にライアン下院議長が「アメリカの将来のためのロードマップ」というような題の、見栄えのする財政改革の青写真を発表することで、メディアの人気者としての地位を確立し始めた時から始まっていたという。
私:そういった青写真にはすべて、企業や富裕層の大減税が含まれていたが、ライアン氏は、税制上の不当な優遇措置の撤廃で歳入減を埋め合わせることができる、と言って譲らず、どの優遇措置を撤廃するのかを彼は明らかにすることを拒んできた。
しかし、だが現実の法律は、巨額の財政上の穴を曖昧な約束で埋めることなどできない。
A氏:教授は、そもそもなぜ減税を検討する必要があるのか?という。 米国の税は、ほかの裕福な国々に比べ、高額どころか低額。
減税が急速な経済発展につながるという予想は、何度となく外れてきて、企業や富裕層の税を下げるのではなく、上げるという有権者の方が圧倒的に多い。
私:中間選挙に向かうにあたり、オバマケア廃止の失敗を相殺する「勝ち」が必要だというのが、共和党で支配的な意見のようだが、この意見は、有権者を驚くほどに軽視していると教授は指摘。
A氏:教授は、最後に政治の成り行きがどうなったとしても、これは全くお粗末な成り行きで編み出された、実にお粗末な政策で、ほとんどの米国人は、トランプ氏が実にひどい大統領だと気付いているが、同氏の与党・共和党の議会指導部も、相当にひどいということにも、気付く必要があるだろうという。
私:この教授のコラム寄稿の後、共和党の大減税案の1年延期となるが、その内容が教授がこのコラムで指摘したように杜撰な内容に共和党指導部が、気がついたからだろう。
アバマケア撤廃に失敗し、今度の減税案の1年延期と、教授の指摘するようにトランプ氏だけでなく、同氏の与党・共和党の議会指導部も、相当にひどいということかね。
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Last updated
2017.11.10 14:46:35
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