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私:農業問題は、数年前からこのブログでもすでに問題にしているが、このインタビュー記事では日本の「食料自給率」が、先進国で最低レベルの38%であることをとりあげている。
作家・浅川芳裕氏は専門サイト「農業ビジネス」編集長でもあり、著書に「日本は世界5位の農業大国」がある。 浅川氏は、冒頭から「自給率38%」の数字に異論を唱えているね。
この「自給率」は率の分母は国民1人1日あたりの供給カロリーで、国産に輸入を加えているが、この供給カロリーは我々が実際に消費した分ではなく、食品工場やコンビニエンスストア、レストランなどで捨てられる、だれの胃袋にも入らなかった食品廃棄物など、年約2千万トンものが含まれているという。
A氏:ふつう「自給率」でイメージするのは、一人が健康的に生活するのに必要な食料がどれだけ国産でまかなわれているか、のはずで、大量廃棄まで含んだ数字は、実態より不安をあおる。
私:厚労省のデータなどから浅川氏が試算すると、「自給率」は49%で、政府目標の45%を上回り、「カロリーベース」でなく「生産額ベース」では、すでに68%だという。
A氏:どうして「自給率」の数字がおかしいのか? まず、65年から「生産額ベースの自給率」が公表されていたのが、1980年代に「自給率」が「カロリーベース」で突如、登場し、発表されるようになったからだという。
背景に、牛肉、オレンジの日米農産物自由化交渉が盛んだったことがあり、「カロリーベース」の方が輸入依存度が高いことを示せるので、農水省は自由化を阻止する宣伝手段になると判断したのだと浅川氏は指摘する。
私:国民の危機感をあおるのに、4割程度の数字はちょうどいいという、農水省最大の「ヒット商品」だと浅川氏は皮肉る。
これにより、財務省の官僚は、毎年の予算折衝で「食料自給率」が下がってもいいのか、と脅されたそうで、予算も確保しやすいので、農村を基盤とする政治家や農協にもありがたいというわけだ。
「カロリーベースの自給率」を農業政策の柱にしているのは、世界でほぼ日本だけ。 農水省が発表する先進国の「自給率」も、国際食料農業機関(FAO)の統計などから自ら計算した「自作自演」で、米価をつり上げるため「自給率」向上と矛盾するコメの減反政策を続けてきた。
A氏:対する世界の食料安全保障の定義は、「国民の栄養が足りているか」「貧困層が買えるか」「災害時に調達できるか」の3点。
浅川氏は、2008~11年にかけて、こうした疑問点を月刊誌や新書で指摘。
「カロリーベースの自給率」向上を国策にすると、カロリーの低い野菜の農家や、エサのほとんどを輸入に頼る畜産農家は、国策に逆らう存在に位置づけられる。
私:浅川氏や一部の学者の批判もあり、農水省は15年から「食料自給力」という新しい指標を導入。 これは、輸入が止まったとき、いまの農地でどれだけの農産物が生産できるか、をみるもの。
それでも、選挙などで錦の御旗とされるのが、「自給率」。
それは、1999年施行の食料・農業・農村基本法に、自給率の目標を定めて向上させるという原則が書かれているため。
だから、浅川氏は、法律のこの部分をなくし、「食料自給率」は廃止するべきだという。
長年、政府が膨大な補助金を支給し、農家に何をつくれ、消費者に何を食べろと、事実上命令できる根拠になっていて、統制主義的な考え方が根底にある。
しかし、政府の指導なしで経営する農家が育ってこそ、いざというときでも食べる人の立場にたった判断ができ、これこそ、真の食料安全保障の前提条件だと、浅川氏はいう。
A氏:この記事でインタビューしたもう一人の横田農場社長・横田修一氏は、自主的な農業経営を行っている例を紹介している。
私:しかし、「少子高齢化」で農業の後継者不足で休耕地が増えている。このブログでは、すでに9年前の「農政改革」では、耕作放棄地と休耕田を合わせた面積は東京都の3倍近くにまで増えたというが、この問題にもふれてほしかったね。
同じ年のブログ、「減反選択制を検討」では榊原英資氏は21世紀の成長産業は農業だと言っていることにふれているが、このときから約10年近くたって、どのように改善されたのか知りたいところだね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018.01.13 19:00:15
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