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私:今月の論壇では続投が決まった安倍政権を総括した論考が多いという。
小熊氏の意見では、安倍政権の特徴は、幸運に恵まれた政権だったことで、その前の民主党政権は政権運営が不慣れで、震災や原発事故の対応も不十分で、さらにその前には、首相が1年おきに交代する混乱状態が続いていた。
この状況ならば、その後に登場する政権は「よりまし」に見えやすく、世論調査では、安倍政権を支持する理由の1位は「ほかの内閣よりよさそうだから」。
さらに安倍政権の登場が、世界経済の回復期と重なったのも幸運。
また1990年代末からの統治機構改革で、首相の権限が強められ、小選挙区制や政党交付金も、党総裁の力を強め、こうした制度が整っていた点でも、安倍政権は幸運。
さらに自民党が衰退し、09年に政権を失ったことも幸運として作用した。
こうした一連の外部条件が、安倍政権に幸運として働き、「運」を味方にするのも政治家の実力の一つかもしれないと小熊氏はいう。
A氏:小泉政権同様、安倍政権も「改革」は掲げた。
例えばアベノミクスで、これは金融緩和・財政出動・成長戦略の「三本の矢」から成っていたが、日銀参事だった岩村充氏は、「以前からの政策の延長線上にあるもので、特筆すべきことはありません」と述べている。
「三本の矢」は、形は違うが60年代から自民党政権がずっと行ってきた政策で、岩村氏は、金融緩和が「異次元」であることは大きな違いだと認めているが、その効果は疑わしく、政策を新奇なものとして打ち出した「メッセージ効果」にとどまったのではないかという。
外国人政策も同様で、いろいろ政策を打ち出しているが、この問題を研究してきた丹野清人氏は、定住を認めずに「単一民族国家の幻想」を維持しようとする基本姿勢は変わっていないという。
竹中平蔵氏は、今回の技能実習生のような外国人材活用は「自民党の農林部会や建設部会が押し上げた」と指摘。
私:議論をよんだ安全保障政策については、佐伯啓思氏は、「集団的自衛権を一応認めたのは従来の延長線上で法制化しただけの話」であり、「大事なことは全て保留状態で、表面上だけでつじつまを合わせている」と手厳しいという。
とはいえ、これらは、安倍政権が「自民党のコアな支持者が安心感を得られるような政策」をとってきた結果とも言える。
自民党支持者には変化を望まない中高年が多く、「コアな支持者」が有権者の3割前後にすぎないとしても、野党が分裂して棄権が5割近い状態ならば、選挙に勝つことはできる。
そのうえで「メッセージ効果」とメディア対策で支持率を保つのは、政権維持には賢い戦略。
しかし、「現状を変えないこと」と「安心」は同じではなく、大飯原発の運転差し止め判決を出した樋口英明氏は、各地の原発設計の基準地震動が、日本で記録された最大震度の4分の1から6分の1にすぎず、一般住宅の耐震強度にさえ「遠く及ばない」と指摘。
これは変えたほうが安心だろう。
またこれでは、新時代には対応できず、現在の70代の青春を描いた「三丁目の夕日」の時代には、沖縄は米軍統治下で、大卒女性に求人はなかったという、そんな日本を「取り戻す」のは時代錯誤だと小熊氏はいう。
人生には「青春・朱夏・白秋・玄冬」の四つの時期があるというが、これまでの安倍政権は、夏の熱波の後に訪れた「白秋政権」だったが、白秋の次は玄冬がくる。
政権の真価が試されるのは、幸運の有効期限がすぎた後であると小熊氏はいう。
日本の先進国のトップを行く少子高齢化の進行、「科学力の低下」という基本的な問題には歯止めがかかっていないね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018.09.27 18:25:25
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