「仏大統領選 不平不満表す1票ではなく」GLOBE編集長・国末憲人氏筆・4日朝日新聞・「ザ・コラム」欄
私:国末憲人氏は、仏大統領選で、反EUを掲げる右翼ルペン氏が勝利を収めると、独仏に支えられてきたEUは支柱を失い、一気に弱体化しないかと懸念している。 不安はEUにとどまらない。権威主義的性格が顕著なルペン氏はひとたび権力を手にすると、ロシアのプーチン政権並みの言論統制や人権弾圧に乗り出さないか。米トランプ政権と結託し、自由な言論や人権、国際法秩序をむしばむ行為に走らないかとさらに懸念している。 氏は明らかにルペン氏の仏大統領選での勝利には反対だね。 A氏:しかし、所得格差の拡大、繁栄する都市の陰で疲弊する地方、一部エリートによる政治の独占など、フランスの有権者の関心は、むしろ国内問題に集中し、現状への不安や不満が、既存政治の打破を訴える右翼ポピュリストのルペン氏支持につながっている。 23日の第1回投票では、やはり反EUを掲げる左翼メランション氏も健闘し、決選まであと一歩と迫った。その背後にも、同様の感情がある。 私:批判の矛先は、ルペン氏とともに決選に進んだ親欧州派の若手マクロン氏に向かう。彼は左派に近いが、元エリート官僚で投資銀行勤務の経験もあり、庶民の生活とは無縁のイメージが強い。 「決選でもメランションに投票を」と呼びかける運動は、そんなところから広がった。 ルペン氏には入れたくないが、マクロン氏に投じるのもしゃくだ、ならば、すでに敗退した候補の名を投票用紙にあえて書こう。当然無効票にカウントされるが、自分たちの不満を伝えることはできるというわけだ。 棄権だね。 A氏:こんな動きが生まれたのも、「どうせルペン氏は当選しやしない」と、みんな高をくくっているからで、第1回投票直後の支持率は、約6対4と開きがあり決選で白票を入れるつもりだという男性は「普段の怒りを一票に込めたい。ルペンに当選の芽はないからね」と語ったという。 ただ、その差は縮まっており、予想外の結果もあり得ないわけではない。 私:これは、このブログの「2017試練の欧州・雇用か治安か 仏大統領選、7日決選へ激論」でもとりあげていたが、セルジュ・ガラム仏国立科学研究センター主任研究員は、棄権が増えるほど、ルペン氏当選の可能性は高まるとして、マクロン氏の当選が確実だと考えるのは時期尚早だとしているのを想起するね。 国末氏はフランス国民が、不平不満表す1票ではなくEUの将来を考えた一票を期待している、 EUの重要性を強調したオランド大統領の後継を決める仏大統領選の決選投票が7日に迫る。