「トヨタ、移動サービスに力 自動運転車で宅配・宿泊も アマゾンなどと提携」10日朝日新聞・経済欄
私:米ラスベガスで9日始まった家電・技術見本市CESを前に、トヨタの豊田章男社長は、「車をつくる会社からモビリティーの会社へ変えることが私の目標だ」として、自動運転車を使った様々な移動サービスの基盤をつくると発表した。 A氏:米グーグル、米アップルやウーバーなどのIT企業が先行する自動運転車やそれを使った割安なシェアサービスが普及すると、米国の新車販売市場は40年までに4割縮む、と英金融大手のバークレイズは予測する。 トヨタの「ドル箱市場」であり、ほかの先進国もこうした流れと無縁ではなさそうだ。 私:自動車各社は、サービス事業者に商用車を卸す「下請け」になりかねないことにも懸念を募らせる。 トヨタは、シェアサービスや自動運転車の普及でマイカー需要が減る懸念が強まる中、「ライバル」と名指ししたITの巨人、米アマゾンや資本提携先のマツダに加え、相乗りタクシーのようなライドシェア事業を手がける米ウーバー・テクノロジーズ、中国の滴滴出行(ディディチューシン)と自動運転車を使った様々な移動サービスを共同で開発していく。 A氏:米フォード・モーターや独フォルクスワーゲンは移動サービスを強化しようと、ノウハウを持ち、全面対決は避けたいIT大手との関係を強めており、トヨタの提携もこの流れに沿う。 私:トヨタは、初公開した電気自動車の試作車「eパレット・コンセプト」を使い、ライドシェアや商品の宅配といった運輸・物流のサービスを運転手なしで提供する基盤をつくり、車両の販売や貸し出しだけでなく保守や保険でも稼ぎたい考え。 各社との実証実験を2020年代前半から米国などで始め、。他社の自動運転システムも載せられるようにする。 A氏:国内外の主要企業には事業の重点を時代にあわせて変化させたところが少なくない。 トヨタも1937年、織物機械メーカー、豊田自動織機の一部門が独立して生まれた。 豊田社長はこの日、祖父の喜一郎が織機づくり技術を土台に自動車づくりを始めたことを紹介し、「3代目が会社をつぶすと言われるが、そうならないようにしたい」として、移動サービスへの注力に生き残りをかける考えを強調した。 私:自動車やITの大手がめざすサービスは、モノや人の移動に伴う費用を引き下げ、消費者の生活を豊かにする可能性を持つ。 国内の人手不足の解消にも貢献しそうだが、一方でクルマの生産や販売が減ったり物流などの仕組みが変わったりすれば、多くの働き手に影響が及ぶ懸念もある。 トヨタをはじめとして、自動車業界も大きな転機をむかえつつあるね。