2009/10/31(土)12:16
未知との遭遇
1978年2月公開
監督:スティーヴン・スピルバーグ
製作費:2千万ドル
スピルバーグ監督・脚本による、異星人とのファーストコンタクトを描いたSF映画。
出演は、リチャード・ドレイファス、フランソワ・トリュフォーほか。
[簡単なあらすじ]
数十年前に消息を絶った飛行機群が、まったく別の場所で新品同然の姿で発見されるなど、地球各地で不思議な現象が相次いで発生していた。
そんな中、原因不明の停電を調査していた電気技師ロイ・ニアリー(リチャード・ドレイファス)は、夜空を飛行するUFOを目撃する。
それ以来、謎の山のイメージが頭から離れず、家族ともうまくいかなくなっていたロイは、同じくUFOを目撃し、幼い息子バリーを連れ去られてしまった女性ジリアンと共に、政府が極秘裏に異星人と接触しようとしているデビルズタワーへと向かったのだが――
スピルバーグ監督作品の中でも珍しく、監督自身が脚本も手がけた、SF映画です。
1970年代から80年代の宇宙(異星人)ものSF映画の先駆けともなった作品で、のちに、
――盟友ジョージ・ルーカスの『スター・ウォーズ』、
――同スピルバーグの『E.T.』
――他にも、『スター・トレック』や『エイリアン』『遊星からの物体X』
といった、映画が次々と製作されることになります。
さすがに数十年も前の映画だけあってUFOなどの特撮が少々古臭く、ストーリーもシンプルなものとなっていますが、全体的に調和の取れたバランスのいい映画に仕上がっています。
ちなみに原題は「Close Encounters of the Third Kind」で、意味は第三種接近遭遇。
第一種は、未確認飛行物体の目撃。
第二種は、それらが、なんらかの証拠を残すこと。
第三種が、UFO搭乗員との接触・コンタクトを意味します。
UFOと遭遇したことで、数奇な運命に巻き込まれることとなってしまった一般人、主人公ロイ・ニアリーを演じるのは、スピルバーグの前作『ジョーズ』にも出演していたリチャード・ドレイファス。
はたして、彼の辿った運命は幸福だったのか不幸だったのか、判断するのが難しいところ。
どうやら、UFOの発する光を浴びると日に焼けるらしく、顔面が痛々しいことに。
また、UFOと感応した人々がみな山の絵を書いていた中、彼だけがリアルな模型を作っていたためにデビルズタワーの道に詳しい、という設定が面白くて好きです。
お陰で、家族には愛想をつかされてしまいましたが……(笑)
キャスティングでは他に、フランス人映画監督であるフランソワ・トリュフォーが、スピルバーグに是非にと乞われて俳優として出演。
柔和で知的な科学者として、ひと際存在感をはなっております。
デビルズタワーの頭上に出現した、異星人のマザーシップ。
とてつもなく巨大――なようにも見えますが、シーンによってはそうでもなかったりと、よく分からない部分も。
さすが、異星人の未知の技術。
しかし、前半から中盤にかけての異星人の謎の行動、特にジリアンの息子バリーを連れ去ろうとするシーンなどは、ほとんどホラー映画状態。
クライマックスシーンでは、きわめてはっきりと異星人の姿が描写されてもいるのですが、中でも、一番最初に降りてきた、ひょろっとした奴の怖さが半端じゃないです……。
やっぱり異星人、結構恐い……。
おそらく、まず「こういった画が撮りたい」という発想があって、そこからアイデアが出されていった映画なのではないかと思うのですが、そこは天才スピルバーグ。
今観てみても、大きな感動と昂奮を味わえる、完成度の高い映画となっています。
特にラスト、マザーシップの登場と地上に降り立つ異星人の映像は、作り物と分かっていてもドキドキするほど衝撃的。
友好的な宇宙人との接触、というストーリーではアーサー・C・クラークの名著「幼年期の終り」がありますが、あの感動をここまで見事に映像化しえたのはスピルバーグの手腕があってこそ。
すべてが謎である異星人との接触を描いた映画だけに、最後まで観てもよく分からない部分も多いですが、それを踏まえた上でも、十分に楽しめる映画です。
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