我が家の玄関の隅っこ、傘を置いている場所が蜘蛛の棲み処になっている。何度取り払っても、どこかに蜘蛛の卵が残っているのか、外から入ってくるのかいつの間にか巣が作られている。夏の間は虫も多いのでしばらくそのままにしておいた。ある朝、気がつくと蜘蛛の巣に5センチくらいの赤くて長い物体が揺れている。目を凝らし見てみると、それはムカデだった。小さいとはいえ、ムカデであればすぐに退治しないと逃げてしまったら大変である。私はまだ経験がないが、ムカデに噛まれたときの痛みはものすごいらしい。裏のお婆ちゃんは外に干していた手袋の中に入っていたムカデに噛まれたらしい。今年は2階の寝室ですでに2匹のムカデを発見し、震えながら熱湯をかけて退治した。
大急ぎで湯を沸かそうと思いながら、しばらく様子を見てみることにした。生きて逃げそうならすぐに退治しないといけない。20分ごとに観察していると、最初は大きく動いていたムカデだったが、昼過ぎにはだんだんと力をなくしてきた。ムカデより蜘蛛の巣の力が強いなんて思いもよらなかった。あんなに細い糸のようなもので、獰猛なムカデを捕まえて離さないなんて…。小さな虫と違ってムカデは蜘蛛の餌にならないだろうから捨てられたらしい。スマホで写真を撮ってみんなに送ろうと思っていたら、いつの間にか息絶えたムカデは干からびて巣から落ちてしまっていた。返す返すも残念である。
最近は「長生きするといろいろなことに遭遇する」というのが私の決まり文句になっているが、こんな場面に出くわして、まだまだ知らないことがいっぱいあるのだと思っている。
1週間ほど前から台風の影響で天候が定まらず、カンカン照りになっていたかと思えばいきなりの雷雨や集中豪雨、毎日のウォーキングさえもままならない日が続いている。じっと家に閉じこもっていると運動不足になり、睡眠にも影響が出るので空模様を伺いながら雨天兼用の傘を持って歩いている。暑い日が続いているとはいえ、だんだんと日照時間も短くなってきているので、スタート時間も早めている。一昨日の夕方、歩いていると目の前に大きな虹が現れた。山と山を結ぶようなスケールの大きな天然の虹である。思わず「虹だ」と声をあげてしまった。畑にいたおじさんと犬の散歩のおじさんに教えてあげると、二人とも「オ~」と喜んでいた。なんだか良いことが起こりそうな気がしてきたが、5分もしないうちに跡形もなく消えてしまった。虹のかけ橋という言葉が自然に浮かんできた。虹は儚い。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.09.09 10:41:17