2月からの新型コロナウイルス感染拡大で世界中の様相が大きく変わってきている。ビジネスや旅行などの移動だけでなく、スポーツ観戦や演劇、イベントの中止に始まり、仕事の在り方もリモートになったり、会議だけでなく会食も中止になった。家族旅行や帰省、外食も自粛となった。ワクチンも治療薬の開発もどこまで進んでいるかわからないが、思いのほか長引いている。それも日本だけではなく、アメリカやヨーロッパでは第2波の被害も拡大しているらしい。経済と安全の優先をどうしようかと様子をみながら、少しづつではあるがもとに戻ろうとしているが、先が見えない。
何よりも人々のパワーが衰えてきている気配がして不気味である。いろいろな制限が人から元気をすり減らしているのではないだろうか。特に高齢者は外出して人に会う機会が減少し、気力が落ちてきていると聞くと「なるほど」と思わず納得してしまう。
旅行や観劇、友人や家族とのショッピングや食事をする楽しみがあるときは、お化粧をして洋服や靴、バッグを選び、もうそれだけでもウキウキと心が弾む。それが当たり前だった暮らしから一転して、今はのっぺらぼうのような楽しみのない毎日である。2月の初めに、娘と吉祥寺で冬物バーゲンで買ったジャケットも、パンツもブラウスも着て行くところがない。衣類だけでなく、化粧品も売れないらしい。そもそも会社へ行かなくて自宅で仕事をするとか、出勤時も顔半分が隠れるくらいのマスクを着けるので、化粧をする人も少なくなり、特に口紅の売り上げが落ちたらしい。今やショッピングはネットで不自由なくできるが、画面とにらめっこをしながら買い物をするのと、目の前の商品を手に取ってあれこれ迷うのは全くの別物である。
外へ出ないから化粧もしないし、着替えもしないという人もいる。私も雨が降って外へ出られない日は洗顔だけで済ます日もあるが、誰も来ないだろうからとすっぴんでいると気分が落ち込んでくるような気がする。化粧をするとはいっても化粧水とクリーム、ファンデーションにチークと眉墨、ちょっと色の付いたリップクリームをつけるだけで、所用時間は1分間。してもしなくてもほぼ変わりはないのだが、気持ちはシャンとする。予告もなく息子が訪ねてきたりしたときに、化粧もせずにいると慌ててしまう。きれいに見せたいのではなく、「ちゃんとした暮らしをしているから心配しないで」ということである。いくら年寄りだからといって、疲れたような素顔は見られたくないのが本音。誰のためでなく、自分のために気合を入れて「今日も頑張ってジャムを作ろう」と鏡に向かう今日この頃である。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.10.17 13:38:58