テーマ:ミステリはお好き?(1445)
カテゴリ:海外ミステリ
エラリー・クイーンの作品を読み漁ったのは大分前のことなので、結構内容を忘れている物が多いです。
読み直してもう一度楽しめるので得をしているようでもあり、時間を損しているようでもあり。 「緋文字」は当時私が嫌いだったニッキー・ポーターが出てきます。 けれども、この話は彼女がエラリーのパートナーとして重要な役割を果たしている唯一の長編なのです。 ニッキー・ポーターはもともとラジオ・シリーズ用に創造されたキャラクターです。そのため、髪の色や出身地もまちまちです。 本作では赤毛でカンサス出身となっています。 [あらすじ] ミステリ作家ダークと女流演出家のマーサは、誰もが羨む幸福な夫婦でしたが、最近二人の仲はうまくいかず、夫婦の危機を迎えていました。 夫は妻の浮気を疑って、嫉妬のあまり暴力をふるうようになったのです。 エラリーと秘書のニッキーが何度か仲裁に入って、修復をはかりますが、そのうちマーサがプレイボーイ俳優と連絡を取り合い、デートを重ねていることがわかります。 悪戦苦闘を繰り返し、諦めて手を引こうとしていた二人ですが、ついに”緋文字殺人事件”に巻き込まれてしまいます。 初期の作風からは考えられない構成です。 殺人が起こるのは最後の最後で、それまでエラリーは延々と浮気現場の追跡をしています。 殴ったり殴られたりとハードボイルド探偵みたいなことをしているな、と思って読んでいると、殺人事件が起こってからは急展開でした。 ダイイングメッセージから推理をめぐらせて犯行を暴くまでの、制限時間ギリギリという状況は、ハラハラして目が離せませんでした。 そして、全てが終わり振り返ったとき、長い長い序章のうちに、実は張り巡らされた伏線があったことに気づかされます。 考えをまとめるために、2時間も雨の中に立ち尽くしたり、父に抱きついて泣いたりと、ここではエラリーはなかなか人間的です。 緋文字 : エラリー・クイーン お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005年11月15日 23時44分55秒
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