テーマ:ミステリはお好き?(1451)
カテゴリ:海外ミステリ
サム・ホーソーンとは、アメリカを代表する短編の名手エドワード・D・ホックの数多いシリーズ・キャラクターの中の一人です。
老境に達した医師、サム・ホーソーンが、訪ねてきた友人をお神酒で歓迎しながら、自分が過去に遭遇した奇妙な事件の思い出を語るという連作短編集です。(最後にノンシリーズの短編「長い墜落」も収録。) 一つ一つの話が短いので、寝る前に一つとか、ちょっとしたあき時間に少しずつ読みました。 彼が語るのはすべてノースモントの町でおきた不可能犯罪です。 たとえば『有栖川有栖の密室大図鑑』で紹介されていた「投票ブースの謎」 三方が壁、残る一方はカーテンが引かれ足から下が見えている投票ブースで、ある人物が刺し殺される。ブースに近づいた者は誰もいない上に、凶器も見つからなかったという事件。 私が気に入ったのは、ジャック・フットレルの名作「十三号独房の問題」に挑戦した(?)「十六号独房の謎」 どんな留置所からも脱獄してみせると豪語する詐欺師が逮捕される。だが、十六号独房に閉じ込められたはずなのに、彼は真夜中に姿を消していた。独房にも留置所の入口も鍵がかけられ、入口を保安官が見張っているという状況下で。 他にも、土に埋められたタイムカプセルの中にいつの間にか死体が入っているという事件や、飛行機の上で手を振ってパラシュートで降下した男が、地上におりたときには絞殺されていたという事件など、よくネタ切れにならないと思うくらいのバリエーションです。 しかも、サム・ホーソーンの事件簿は4作目まで刊行されているようです。 (訂正……4作目、『サム・ホーソーンの事件簿〈4〉』は創元推理文庫から、1月22日発売予定です。) 毎回、前振りから本題、さらに次の話の予告というパターンで話が展開します。 都会は性に合わないと、マサチューセッツ州とコネティカット州の州境にあるノースモントという小さな町に診療所を開業したサム・ホーソーンですが、回が進むにつれ、時間も少しずつ経過しているので、新参者だった彼が、次第に町になじんでいくところがよくわかります。 読み手もだんだんこの町や住む人になじんで愛着を感じるようになります。 えらく不可能犯罪の多い町ではありますがw また、1920年当時の、禁酒法が施行された頃の風俗も描かれていて、その当時ののどかな雰囲気も魅力です。 ところで、つまらないことですが、毎回サム老医師が客に薦めるお酒を、「お神酒(おみき)」と言うのが気になりました。 原作ではどういうお酒なのでしょう。 サム・ホーソーンの事件簿(1) :エドワード・D.ホック お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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こんばんは!実は私も「お神酒」にはちょっと違和感がありました(笑)あと作中は颯爽とした青年医師だったのと冒頭の話しぶりがすごく対照的ですね。短編集なので、時間が空いたときにはちょうどいいですね。最新刊の4冊目も楽しみです。
折角なのでTBさせて頂きます。 (2006年01月06日 23時36分41秒)
こんばんは。
小説自体は未読ですが……。 「お神酒」とは、禁酒法の時代背景を考えると、日本の寺のお坊さんが普通の酒を「般若湯」と言ってごまかして飲むのと同じことなのでは? ……なんて勝手に推測してみました。 (2006年01月07日 00時07分50秒)
たばさ6992さん、こんばんは!
>こんばんは!実は私も「お神酒」にはちょっと違和感がありました(笑)あと作中は颯爽とした青年医師だったのと冒頭の話しぶりがすごく対照的ですね。短編集なので、時間が空いたときにはちょうどいいですね。最新刊の4冊目も楽しみです。 やっぱり「お神酒」には違和感を感じられたんですね(笑)あと、お酒をすすめるのに「そのう」とかいう言葉が、たびたび入るのも気になりました。 表紙が若い頃のスマートな姿が描かれているので、なおさら老後の様子とのギャップを感じますね。 しまった。4冊目はまだ出ていないんでしたね。訂正しておきます。 >折角なのでTBさせて頂きます。 こちらからもTBさせて頂きます♪ (2006年01月07日 17時49分54秒)
ときあさぎさん、こんばんは!
>こんばんは。 >小説自体は未読ですが……。 >「お神酒」とは、禁酒法の時代背景を考えると、日本の寺のお坊さんが普通の酒を「般若湯」と言ってごまかして飲むのと同じことなのでは? >……なんて勝手に推測してみました。 なるほど、禁酒法のなごりということは十分考えられますね。 だから、飲み友達にお酒をすすめるときも、遠慮がちなのかもφ(゚〇゚;) (2006年01月07日 17時56分49秒)
こんにちは!ご無沙汰いたしております。
『サム・ホーソーンの事件簿』は、創元社の告知で知った短編集なのですが、さみあどさんの解説を読んで是非読んでみようと思いました。 気になさっている「お神酒」ですが、植民地時代のアメリカでは、アルコールは嗜好品ではなく主に協会で牧師がもてなしにつかうものだったと聞いたことがあります。禁酒法はお酒を作ったり売ったりしてはいけないとしているけれど、飲むことに関しては何も触れられていなかったとも聞きます。そんなことから考えると、ときあさぎさんの推測があたってるように思うのですが… ますます読むのが楽しみです。 (読みかけの『猫丸先輩の推測』を読了したら、読むことにします) さて、このほど私のブログをgooから楽天にお引越しさせました。 新しい年、新しい日記、です。 よろしくお願いいたします。 (2006年01月09日 17時16分30秒)
あむあむ108さん、こんばんは!
こちらこそご無沙汰しておりました。 楽天にHPを作られたんですか。 早速伺いますね。 これからもよろしくお願いします。 >植民地時代のアメリカでは、アルコールは嗜好品ではなく主に協会で牧師がもてなしにつかうものだったと聞いたことがあります。禁酒法はお酒を作ったり売ったりしてはいけないとしているけれど、飲むことに関しては何も触れられていなかったとも聞きます。そんなことから考えると、ときあさぎさんの推測があたってるように思うのですが… おお、そうだったんですか。 「協会で牧師がもてなしにつかうもの」だったのならば、お神酒という表現も納得できますね。 禁酒法が飲むことには触れられていなかったというのも意外でした。 『サム・ホーソーンの事件簿』は、現在ではちゃちに思えてしまうトリックもありますが、なかなか完成度が高いと思います。 短いので、空いた時間に少しずつ読むことができますよ。 ここには相変わらずミステリのことしか書いていませんが、これからも遊びに来てくださいね。 (2006年01月09日 21時58分25秒)
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