沼津垣
沼津ご用邸記念公園の沼津垣百科事典より沼津垣(ぬまづがき)とは、竹垣の工法の1つのことである。沼津市に伝わるもので、ササ篠竹を網代編にした垣根である。沼津市付近は海風が強く、それを防ぐために沼津垣が利用される。箱根西麓には箱根篠竹(女竹)といわれる直径1cmほどの細い竹が各地に自生しています。かつては、晩秋の農閑期になると三島から裾野、御殿場の農家の人々は箱根の山中に入り、箱根竹を切り出し出荷したものでした。これらはキセルのラオや、行李(こうり)、家の壁芯となるコマイダケとして利用されていました。三島では山中新田の人々が昭和30年代まで、箱根竹を大量に切り出し、キセルのラオ用に短く切り沼津へ出荷していたものです。また古くから箱根篠竹が活用されていたものに沼津垣があります。江戸時代以前から作られ続けていたといわれる沼津垣は、冬の強い西風や海岸からの砂を防ぎ、家や農作物を守るために利用されていました。江戸時代の沼津を紹介した浮世絵や絵図を見ると、東海道の沿道に沼津垣が多く描かれています。沼津垣は16本に束ねた篠竹を斜めに杉綾模様に編み込んだものです。現在の沼津垣は防腐剤を煮込んだ木柱を使うなど工夫が凝らされ、15年は持つ丈夫な竹垣となっています。