函館の街には多くの歴史が刻まれ、そして静かに佇んでいる。今日もその一つにであった。「サクラビールってなんですか?」まぁ素朴な疑問である。なんでこういう知らないビールがあるんだろうかなと。お店のかたもはてということ、こういうときにはネット時代はなんとも便利である。すぐ解って理解したような気になることができるからである。そう情報とインテリジェンスの区別ないように。
このサクラビールは明治45年に鈴木商店によって帝国麦酒として設立されている。いまでは(もう社名はないけれど)三和銀行、日商岩井がその流れであったが、取り付け騒ぎで消えてしまった。ここら辺はかなり前に読んだ城山三郎さんの鼠の記憶。その後1943年には現在のサッポロビールと合併してきえたもの。そうか60年以上前にはこの函館でも看板を掲げて売られていたんだサクラビールが、工場はやはり門司だったのだろうか。(現在、北九州の門司ではこの旧帝国麦酒を引き継いだサッポロビールの赤煉瓦館が重要文化財に指定されている。)
その看板が現在でも函館の酒屋さんでは静かに掲げられているのである。当時の函館の繁栄はひっそりとその片鱗を残してくれている。
そして私たちに問いかけてくる。おまえたちは時代に何を残せるのだと。