地元のおみやげではたまに地酒というのがあるけれど、ここいらへんでは日本酒は北斗市の陣屋櫻、木古内の禊ぎの舞、北檜山がよしこ、今金は万太郎だったけ、せたなは吟子物語と知内はにごりのおっぱい酒、そして焼酎である。オニウシのカボチャは森でも地元作りとまではいってない。厚沢部の喜多里はもう地元でつくっている。昆布やジャガイモ、そしてさつまいもである。あとはワインであり、すっかり定着した函館ワインは別格として、乙部ワイン、そして新たに奧尻ワインである。ツヴァイゲルトレーべが静かに実はここで熟成している(そう信じているのだがたんに置いてあるだけという人もいる)。奧尻はここいらへんではイメージと違って、対馬暖流の影響があり、温暖な気候の土地で宝の島なのである。北海道の人が本州を内地というけれど、サッポロを今奥地といえば怒られるだろう。奧尻島の人からはこっち側とあっち側みたいないいかたである。意外に思うかもしれないが、現在でも米作りや牧畜まであり、また縄文からの遺跡があり、勾玉まで出ている地域なのだ。まことに古代から自然豊かな島であり、蛇も熊もいない。鹿はいたのだが、ある時一斉に海峡を渡ったそうである。北海道の方に。この島から渡るのは「向かいえいく」という言い方なのである。このワインは熟成が必要なもの。息の長い作業が始まっている。