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2010年01月11日
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どおん、と火柱が吹き上がった。

放射状に道の延びる交差広場にいたリフィアは、思わず音のしたほうを振り返った。
路上駐車場のあるあたりだ、と思ったそばから、どおん、どおん、という腹に響く音が立て続けに起こる。なにかが停めてあった車に引火爆発しているらしい。

いくつもの悲鳴が聞こえ、それが津波のようにリフィアのほうに近づいてきた。口々になにか叫びながら、立ち尽くす彼女の脇を駆け抜けてゆく。
道の脇の排水溝から炎が吹き上がった。
そもそもの理由が単純な生活用の気体燃料漏れで、地下に溜まったそれがすでに排水路を伝って広がっており、さらに火を噴きながら水路を流れ下っていたと知ったのは、ずいぶん後になってからだ。

そのときはただ、地中から炎の壁が躍り上がって迫り来るようにしか見えなかった。

(うわちょっとどうするの? 私)

押し寄せる炎の舌を見つめながらリフィアは思った。アルディアスを呼ぶ? いいえ、ひとりで大丈夫。なんとかなる。
どこへ逃げたらいいかしら。

リフィアは冷静なつもりだった。しかし赤く燃えあがる炎はすでに彼女から七、八歩の距離に迫っており、数秒後には炎に包まれる位置に自分が立ち尽くしていることに、はたして気がついていたかどうか。

逃げなきゃね。そう思うリフィアの視界を、踊るようにゆらめく明るさが埋め尽くしている。
それがふいに暗くなった。

「リフィア!」

すでに聞きなれた声がしたと思うと、彼女の身体は炎の海から一瞬でかっ攫われていた。

いや、頬が押しつけられている布地の肌慣れた感触と、急にヒヤリと変わった空気で、さっきまでの場所と違うところに彼によって連れ出されたのだ、ということはわかった。

近く遠くに騒ぎの音が聞こえる。
だが音は建物にこだましているのか、距離がつかめない。

リフィアは自分が一体どこにいるのか、どうして今アルディアスに抱きしめられているのか、あの炎の壁がどうなったのか、まったくわからずに混乱した。

自分を抱えている力強い腕を感じ、そこから視線を上にたどってゆくと、長い銀髪とめずらしく怒りをうかべた藍色の瞳があった。

「リフィア、何をやってる。もう少しで炎にまかれるところだったんだぞ!」

肩を掴まれ、いつになく険しい眼差しと口調できつく告げられたけれど意味が分からない。
リフィアは焦点のぼんやりした眼でまばたきをしただけだった。何が起こったのかがよくわかっていない。
アルディアスは目をすがめ、少し気を和らげて、仕方がないというように細い肩を離した。

「……まあいい、話は後だ。炎に巻かれている人が後二、三人いたようだから、助けに行ってくる。君はここにいて」

言い含めて身を翻そうとした途端、なにかがくいとひっかかって彼の動きを止めた。
見ればリフィアの手が、しっかりと彼の服をつかんでいる。

「リフィ……」

離して、と言いかけてアルディアスは口をつぐんだ。
上着の裾をつかむ華奢な両手が、白くなるほどに握り締められて、かたかたと細かく震えている。
いっぱいに見開かれた黄緑の瞳からは、今にも涙があふれそうだった。
置いてきぼりは、それだけは絶対にいや。
言葉にならない想いが流れこむ。

アルディアスはふっと苦笑すると、羽織っていた軍用コートを広げて震える体を包んだ。ここで言い争いをしている場合ではない。

「いいよ、じゃあ一緒に行こう。そのかわり、しっかりつかまってるんだ。いいね?」

こくんとリフィアがうなずく。銀髪の男は、片腕に彼女を抱えたまま炎の中にテレポートで戻った。


アルディアスのシールドと、難燃性の軍用コートの生地を通してさえ、ぐわっと熱い空気がリフィアを包む。
彼女は目をしばたたき、抱きつく腕にいっそう力をこめた。

足元に倒れている男性がいる。
アルディアスが空いた片手でその人を抱え上げ、またジャンプした。
自分の体重が一瞬軽くなり、また重くなって、思わず閉じた瞼にひんやりした空気が触れる。

「現場に倒れていた。すぐ病院に連れて行ってくれ」

救急隊に向かって説明する声。「はっ、フェロウ准将」という声がしたのは、軍の救急隊も出動しているからなのだろう。
生存者がまだいそうだ、という話を聞いて、アルディアスが小さな声で問いかけてくる。

「リン、大丈夫かい? どこかへ座る?」

リフィアは包まれているコートの中でこくりとうなずき、それから強く首を横に振った。上着を握る指に力をこめる。一人で置いていかれるなんて考えられない。
わかった、ではいくよ、と伝えられると同時に、また体重と体感温度の変化が起こった。

「二人か……」

アルディアスの呟きに、コートの陰から目を覗かせる。踊り狂う炎の中、足元に若い夫婦が倒れていた。煙にまかれたのか、寄り添うような姿勢で目を閉じている。
燃えあがる炎のはぜる音と耳を打つ風の音。そこにかすかな泣き声を聞いた気がして、リフィアは耳をそばだてた。

サイキックの力も使ってアルディアスが二人を抱えあげると、その下から弱弱しく泣いている赤ん坊がでてきた。両親の護った空間にいたから、気絶しないで済んでいたらしい。
リフィアは思わずしゃがみこみ、その子を両手で抱き上げた。煤にもほとんど汚れていない小さな体が柔らかい。

アルディアスは赤子を抱いたリフィアを元通りにコートで包み、まわした腕で倒れていた男の腕を、空いた手で女の身体を抱え込んだ。
目を閉じて大きく息を吐き、吸い、そして飛ぶ。

今度の着地は、さきほどのようにスムーズにはいかなかった。わずかによろめいて、なんとか踏みとどまる。
救急隊の前に急に現れた人影に、周囲の野次馬がどよめいた。

「フェロウ准将、お疲れ様です」
「一番奥に倒れていたご夫婦だ。それから」

男女を救急隊の担架に任せ、コートをひろげる。リフィアは一歩踏み出して、胸に抱いていた赤子を隊員に渡した。するといきなり違う場所に出たからか、抱き取られた赤子が急に泣き出した。
その元気な声に、周囲から安堵のため息と拍手が起こる。

サイレンを鳴らして救急車が走り去ると、アルディアスは近くのベンチに座り込んだ。
膝の上に両肘をつき、ぐったりと頭を落とす。

「准将、大丈夫ですか」

野次馬を抑えるため、現場に立っている兵士が心配そうに声をかけてきた。数人を一度にテレポートさせることがどれほどの負担になるか、サイキック能力を持つものなら想像がつく。通常レベルのサイキックならば、自分とあと一人がいいところなのだ。

「ああ。事態が落ち着いてからでいい、車を一台まわしてもらえるかな」
「かしこまりました」

兵士が行ってしまうと、リフィアは心配げに軍服の肩に手をあてた。まだいつもの思考力が戻ったわけではなく、ほとんど反射的な行動だった。
彼女にはサイキック能力はないが、普通に抱えるのだってあの人数では無理だというのはわかる。

(大丈夫?)
(一度に四人と赤ちゃん一人、は新記録だね)

アルディアスは笑ってみせた。さすがにもう飛んでは帰れない。

(リン、どこにも怪我はないね?)
(ええ……と思うわ)
(……よかった)

呟くように言って、細い肩を抱き寄せる。
リフィアの危機を感知して無我夢中でやってきたが、無事で本当によかった。
彼女になにかあったらと思うとぞっとする。
アルディアスはほっと息をついた。

が、次の瞬間彼の目が鋭くなった。
ベンチの背後にある植え込みの向こうに、群集をさえぎるためのテープが張られているから、丸見えで注目の的になるようなことはない。
それでもいくばくかの視線が送られていることが感じられていたが、その中に看過しえない感触のものがあった。

戦場ではありふれた、刃のような鉄臭さ。

殺気。

通り過ぎたそれは一瞬で、今ここで襲ってくる気はないらしい。
だがそれが確実にアルディアスに向けられていたのは間違いなかった。
知らず、リフィアを抱く腕に力がこもる。

(く、苦しい、アルディ)

強靭な胸に押しつけられてリフィアがもがく。事故の実感はまだなさそうだが、思考がだいぶ戻ってきているようではあった。

「あ……ごめん」

慌てて腕の力を抜いて謝ったとき、ちょうど一台の乗用車が彼らの前に停まった。






















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【銀の月のものがたり】 道案内

【第二部 陽の雫】 目次



というわけで新たな展開に入るw
いやこれ過去にあった話なわけですが、物語としてちゃんと山があるのが不思議でしょうがない・・・
どこから計算してたんでしょうかねえ。ぷろぢゅーさー様は。。


ご感想大大大募集中です♪ ぜひ何でも語ってくださいませ♪♪



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最終更新日  2010年01月11日 16時03分16秒
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