海への小径…【写真】
「ちょっとその辺を散歩してみよか?」「ホテルの中を探検しに行こか?」子供たちを誘うのだが、子供たちは、「ちょっと部屋でゆっくりしたい」「のんびり過ごしたい」などと老人みたいな事を言って、全然話に乗ってこない。まぁ、寒かったし風も強かったからなぁ。しかし、チェックアウトして、タクシー待ちの間に、ホテルの庭へ出て小さな階段を発見した。海へと続く小道である。階段を下りていくと、穏やかな湾内に小さな桟橋がある。近くには船が舫ってあり、真珠の筏が浮かんでいる。この辺ならば何処にでもある風景である。また階段を駆け上がり、慌てて戻ったので、ほんの5分から10分くらいの僅かな時間だった。しかし、このことが妙に印象深い。何故か心に残っている。10年前にこの道を歩いた記憶はない。この気持ちは何に由来するのだろうか。懐かしい感じとはまた違う。過去ではなく未来と繋がっている記憶なのだろうか。それとも忘却の彼方に埋もれている何かの記憶なのだろうか。この時の情景を思い出すと、何だか泣きたいような気持になる。