|
カテゴリ:オーケストラ
昨日は市民オケの練習。いよいよ本番指揮者による合奏練習となった。マーラーの交響曲第9番、ざっと通すだけでも1時間半近くかかってしまう大曲である。マーラーの曲は指揮者によってかなり演奏の設計、特にテンポの動かし方が変わってくるので、どう来るのか興味があった。 第1楽章はあっさりな感じでスタートした。最初に速度が変わる部分では、あまり激しく変えないという選択をされているようだ。団内での練習で想定されていたものとは若干違っていた。途中、激しくテンポが移り変わる部分では本当にうねるような進め方、スコアを読んでいれば十分に想定できることなのだが、パート譜だけ見ていると振り回されてしまう、マーラーの曲はそういう意味でも恐ろしかったりするのだ。 第2楽章がおそらく誰も想定していなかったテンポ設定、始まった瞬間に「速っ!!」というつぶやきがあちこちから何となくきこえる。逆にテンポが変わるワルツの部分は思ったよりも遅い感じ。テンポ設定によってただ流すのではなく、おそらくオーケストレーションの具合を重視して選ばれた設定ではないかと思う。ただでさえ振り回されるような音型(想定外の方向と速さで回されるコーヒーカップにのせられているような感じ)も手伝って、完全に振り回されている感じだった。これは心して練習しなければならないだろう。 第3楽章はそれほど速すぎることも遅すぎることもなく入っていけるような感じ。ただし、楽譜に書いてあるドイツ語の指示をしっかりわかって弾かないといろいろなトラップがある。こういうものについては「指揮者の解釈でしょ?」と言う人が多いのだが、実際にはただのフィーリングではなく、スコアに書かれている音符の中のどの側面を重視しているのかによって変わってくるだけである。例えば、「そこにはタメがあるものだ」ということは単に「そういう慣例だから」というだけではなく、転調があったり、そこまでの音の流れでたまったエネルギーが大きすぎてどうしても時間がかかってしまうということがあったり、何らかの理由があるものなのだ。一つ一つの音とまでは言わないまでも、その意味を探ることができたら、もっと自由になれるような気はする。 第4楽章は情緒に流されてしまわないことが重要だとのこと。まずテンポキープが基本にあって、それを守った上で、どうしてもはみ出してしまう部分はそれでも構わないのだが、単に遅くするとか、あるいはテンポ感がなくなってしまうのは避けなければならないというのが、一貫した指示だった。そして、弦楽器には弓をずっと吸い付けたまま弾き続けることという指示もあった。一つ一つの音をきっちりと弾くことが重要である。この楽章の弦楽器にはアクセントが多用されているのだが、それを軽くせずに太い音のままでできれば、それらしい音が出るように思う。弦楽器のうねるような流れと最後の繊細な音とのコントラストはそういう弓づかいからしか出てこないから、そのように言われるのだろうなと思った。 特にこの曲の最後はppppで書かれているのだが、ここは集中力が切れてはいけないところ。私はこの最後は、宇宙船に乗っていて地球との交信が辛うじてできている状態(これ以上は交信できないぎりぎりの場所)にあるような感覚を持っている。そして、最後は宇宙の彼方へと飛んで行ってしまう、みたいな感覚だ。意味のあるメッセージを何とか伝えようあるいはわかろうとしている状態だからきっと当事者は感覚を研ぎ澄ましているだろうと思うのだ。出ている音はかすかなものでも、そのメッセージは伝わるものでなければならない、そう思えてくる。 私はもちろんアマチュアなのでスコアを読むと言っても、それは非常に浅いものであると思う。読むとわかることというのは知れているようにも思う。でも、読むという習慣をつけていくうちに、一つ一つの音をもっと大事に演奏したい、もっと曲を深く知りたいと思うようにはなったと思う。マーラーのスコアはちょっと見るだけでも頭が痛くなりそうなほど細かかったりするのだが、そのように書いていることにはすべてかどうかはわからないまでも何らかの意味があるはずだと思う。まだまだ自分にとって未知の領域がこの曲にはたくさんあるが、もっと探検したいと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Apr 19, 2009 10:51:32 AM
コメント(0) | コメントを書く
[オーケストラ] カテゴリの最新記事
|
|