先日、コーラスの帰りに散歩がてら
初詣第二弾のつもりで神社に行った。
ここは、善知鳥神社
青森市発祥の地でもある。
青森市の北西、
商店街に位置して、
青森市で一番有名な神社。
お参りのしかたがお賽銭箱のところに書いてあったので、
それに従って拝んできた。
先に手を洗うんだった・・・
失敗・・・
こうして後はお守りを買い、おみくじを引いて気が晴れた。
おみくじは「吉」。
しっかり読んで、心に留め置きたいと思い、
今年からは木に結ばないで
家に持ち帰ることにした。
神社は、子供が小さい頃にお宮参り、七五三などの他よく訪れたけど、この頃は行かなくなってしまい、今は我家は大仏様に初詣が恒例になっている。
今は息子たちももう成人し、人混みが面倒に感じられてきたのであった。
とにかくこの神社で拝んだ後、お守りを買って気が晴れたので、バスに乗って家に帰ることにした。
しかし、自分の降りるバス停にバスが着き、降りたら何となく心がまだ落ち着かない。
この日はすごい雪降りの天気だったのだけど、行きたいところが実はまだあった。
それは、「合浦公園」(がっぽこうえん)
春は桜、つつじ、そして藤の花、睡蓮・・・
広々とした池がある、そして全国的にもよく珍しいと言われる海がつながってる公園だ。
今行ったところで雪しかないのはわかってるんだけど、何が見たかったかというと「白鳥」だった。
実は、正月に東京から遊びに来た弟家族がこの公園に行き、白鳥が何羽も海に浮かんでる写真を撮ってきたのを見て、私もぜひこの目で確かめたかったわけである。
そこで、もくもくと誰もいない公園へと私は雪を踏みしめながら入っていった。
あ~!
やっぱり雪だ!
何もない!
だけど、白い雪に緑の松がよく映えているではないか!
まるで、水墨画のようだ。
途中「頭上落雪注意」の看板が立っていた。
実は、松の木に積もった雪が
急にどっさりと落ちてくることがあるのだ!
あれ~~!
大きな池は雪の中だ!
どこから池なのか柵がなかったらわからない・・・
しかし、松の枝ぶりが何とも芸術的ではないか!
確かに見えるな~
左右に藤棚があるぞ。
白い雪に白い白樺の木!
ああ、なんと神秘的なことか・・・
いよいよクライマックスだ!
海が近くに見えてきた!!
ああ、これが津軽の海!
陸奥湾だ!!
まるで演歌の世界のよう・・・
どう?
寒そうでしょ?
でも、結構もくもく歩いた私は
不思議と寒くはなかった。
残念なのは、
目当ての白鳥さんがいなかったことだった。
さて、こうして歩きながら、その日は何となくコーラスの例の彼女の事を考えていた。
実は、彼女はなんと先週から又コーラスに顔を出している。
なんでもお医者さんの外泊や外出許可が出たとのこと。
しかし、先週は退会したはずの彼女が、練習場所に行ったら廊下のロビーのソファにすわって窓を眺めていたのを見た時は心臓が止まる程驚いた。
つい先日まで正気でなく精神病院に監禁されていた人が何の連絡もなく現れたのだから無理もない。
皆も彼女が病院を脱走してきたのかと恐れおののいたのだった。
あとで代表の話から、彼女の旦那さんからの電話で、又彼女が歌いたいということで、旦那さんの送り迎えの条件付きで週に一度病院から通うことになったらしい。
彼女は先週の態度は憔悴しきっていたが、「病院のベットは固くて寝られたもんじゃない!」などと乱暴な言葉を言うだけで何の挨拶もなく、ただ怖い印象だった。
しかし、歌がはじまったら、目頭をハンカチで何度も押さえていたのだった。
彼女はやっぱり歌が好きで、辞めたことも納得していないのだろう。
今週は、少し落ち着いて見え、遠慮もしてるのか一言も語らず、皆も何と言っていいのかわからずにいた。
彼女は練習が終われば旦那さんの車で又病院に帰っていくのだった。
いつまで続くかわからないが、彼女のリハビリである。
確かにただ毎日病院の窓からこんなどんよりした雪ばかり見ていては気が滅入ることだろう。
精神病院の中にはいろんな人がいるだろうから、鬱がひどくなるのかもしれない。
こうして週に一度歌の世界に浸るだけで気が晴れるならそれがいいだろう。
彼女は退会の立場であるが、今月の月謝は納めたとのことで、難しいけど臨時会員と言う形で今は様子見ということだと代表は静かに微笑んで私に言った。
彼女の中では多分ずっと今まで通り、ここの会員のままで、椅子を並べることもやめないことだろう・・・
彼女が、この先どこまで頑張れるのかよくわからないけど、歌はいつの世も人の心を癒すものなのは確かな事実。
覚える力、歌える力がなくても、彼女はここにいることが幸せなのだろうな。
そして彼女は心の底では皆の仲間でいることを望んでいるのだろうな。。
でも、どうしてあげたらいいのかわからずに、私は彼女に未だにひとこともことばをかけれていない・・・
雪がいつか溶けるように心の中もゆっくり溶けていくことを願う・・・