認知症の診察について
私の母は、全国でも【認知症の名医】と知られる医師がおられる病院に通院している。もう初めて通院してから5年近くになる。認知症は、治療法が確立していなく、【認知症の医師】を探すのも大変な状態である。今の病院は、インターネットで調べて、よく診てもらえそうだと思ったから通院した。認知症を抱える家族は、皆同じ気持ちなのだろう。その病院は、いつ行っても混雑していて、待ち時間も半端じゃない。しかし、他に診てくれるところもないので、皆黙って診察で呼ばれるのをずっと待っている。そしていざ診察の時間が来たと思ったら、約5分ほどで終わり。次々患者がいるので、そう時間がとれないのはわかる。しかし、たった5分ぐらいで何を診てもらえたのだろう。認知症の判断基準とするものに、MMSEやHDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール)というものがある。今、通院している病院では、HDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール)の検査をだいたい月に1回実施してもらっている。HDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール)とは、短期記憶や見当識、記名力を比較的容易に点数化して評価できるものである。質問の内容は、以下のとおりである。1.お歳はいくつですか?(2年までの誤差は正解)2.今日は何年の何月何日ですか?何曜日ですか?(年、月、日、曜日が正解 でそれぞれ1点づつ)3.私たちが今いるところはどこですか?(自発的にできれば2点 5秒おい て、家ですか?病院ですか?施設ですか?の中から正しい選択をすれば1 点)4.これから言う3つの言葉を言ってみてください。あとでまた聞きますので よく覚えておいてください。(以下の系列のいずれか1つで、採用した系 列に○印をつけておく) 1:a)桜 b)猫 c)電車 2:a)梅 b)犬 c)自転車5・100から7をひいてください。(100ひく7?それから7ひくと?と質問す る)6.私がこれから言う数字を逆から言ってください。 (6-8-2, 3-5-2-9を逆に言ってもらう。3桁逆唱したら打ち切る)7.先ほど覚えてもらった言葉をもう一度言ってみてください。 (自発的に回答があれば各2点。もし回答がなければ、以下のヒントを 与え、正解であれば1点) a)植物 b)動物 c)乗り物8.これから5つの品物を見せます。それを隠しますので何があったか言って ください。(時計、ペン、コンパスなど相互に無関係なもの)9. 知っている野菜の名前をできるだけ多く言って下さい。 (0~5は0点、6は1点、7は2点、8は3点、9は4点、10は5点)上記の問題を発症して5年経過している母に毎月1回質問するのである。HDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール)は、認知症が疑わしいケースに、評価基準として実施するものであると思われる。認知症の診断が確定した場合、記憶に障害があるのだから、HDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール)をしても高得点はとれるはずないのです。認知症は、経過と共に、症状は悪化していくので、認知症の家族が知りたいとすれば、介護のケアなども含む評価基準ではないだろうか?幻視、幻聴、徘徊、問題行動こういった認知症の症状が一切含まれていないテストをして、そのたびに落ちていく点数を聞かされる家族の気持ちを考えてほしいと思う。もし、月1回診断するなら、【理解】【表出】【社会的交流】【問題解決】【記憶】などを7段階で評価するFIM(病院などで採用されているところもある)などで、患者は何に問題があるのか?それを突きとめることが大切なのではないでしょうか?認知症と一まとめにしても、認知症の症状は、人それぞれ違います。問題があることに対して病院として何に取り組んでいくのか?そういうことを診ないで、お決まりの質問ばかりしていて改善の方向に向かっていくのしょうか?私達は、病院に何も診断されるために行くのではありません。病気を改善してほしいから行くのです。診断後、どんな方法を取り入れるのか?それは、患者個々に違うと思いますが。病院で認可されている認知症の薬は1種類しかありません。そしてその薬は、認知症を治す薬ではありません。症状を一定期間抑えるだけなのです。だから治療法がないと言えるでしょうか?それでは、薬もMRIもなかったら、何も治療出来ないことになります。病院は毎月レセプトに、高得点な認知症の管理加算を算定しています。管理加算の基準をもっと詳細化し、医師が患者を熱心に診察するように持っていかなければならないのではないかと思います。点数のとれる検査や薬ばかりでなく、もっと患者をよく診る。そして完治しなくても改善方法を見出そうとする積極的な診察を望んでいます。