【中古】【書籍 ハードカバー】角田 光代 ツリーハウス【中古】afb
ごく普通の市井の三世代にわたる物語。
祖父が亡くなり、祖母が急に中国に行きたいと言い、
現代と祖父母の青春からが絡み合いつつ物語は進むのですけど。
大切な言葉がそこかしこに散らばっていて、
一人一人の人間が生かされているのだということ。
物語の終わりに近いところの抜粋です。
「だって過去は消えないから、あんたやぼくや、文江さんや唯香ちゃんがいるわけでしょう」
過去は消えないから自分たちは今ここにいる。
だけどさあ、おれたちがここにいることにそんなに意味があるのかなぁ、
とつぶやこうとしたときに祖母の声が蘇った。
広場の木、あのおっきな広場を縁取るように木が植わっていて、それ見て、私思ったんですよ、逃げてよかったんだって、あなた方に助けてもらってよかったんだって、こんなに長く生きて、はじめて思ったんです。何をしたでもない、人の役にもたたなかった、それでも死なないでいた、生かされたんです。
私には子供がいないので、生かされていることの意味がとても難しいのだけれど。
きっと何か意味があるのだろうと信じたいです。