こまどりの会のLINEの質問に回答 関係詞の非制限用法
質問1:どちらが正しいか。a) This is the hospital where I was born.b) This is the hospital, where I was born.ルターの答え:意味をなす英文は a) です。b) This is the hospital,…という時点で話し手と聞き手のあいだで「その病院」が何をさすのか了解がないので意味をなさない。a) はThis is the hospital「その病院」が何をさすのか了解がないので制限用法で説明するわけです。制限用法とは「どんな?」「どの?」について話し手が「こんな!」「それ!」だよと制限(限定)して説明するということです。質問2:c)にはカンマが入っていますが、a)にカンマを入れると間違いとなりますか。a) This is the hospital where I was born.c) Last week I went to Kyoto, which I wanted to visit for a long time.ルターの答え:質問1で回答したように a)にカンマをいれたb)は意味を為していない。では、なぜc) にはカンマが必要なのか(=非制限用法)を高校生の学習者は理解する必要がある。かつ、高校教員は解説する責務がある。(a)制限用法[限定用法]:カンマ[,]なし「女の子(a girl)」や「その女の子(the girl)」と前振りなく言われると情報が少ないので「どんな女の子?」「どの女の子?」と聞き手は感じる。そう思わせておいてその直後で、こういう女の子だと説明するのが制限用法。このときは,カンマ(,)を打たない。英語の聞き手はaやanと聞くと「どんな?」が気になります。the ~「その~」と聞くと「どの?」が気になります。そのため,直後で話し手は説明を開始します。(b) 非制限用法[継続用法]:カンマ[,]あり「どんな人?」「どの人?」という疑念が湧きにくい「固有名詞(人名・地名)」やmy ~など「所有格+名詞」はカンマ(,)を打つ非制限用法を用いることが多いと覚える。例えば、Tom / Mr. Smith など〈人名〉、London / Paris など〈地名〉を話題にする場合、「どんなトム? どのスミスさん?」「どんなロンドン? どのパリ?」と疑問を持つことがほとんどない(特定できる)。そのためカンマ(,)を打つ「非制限用法」を用いることが多い。人名や地名,my ~などの表現以外にも,「文の一部」「文全体」を先行詞にして,~, which[カンマ ウィッチ]で指すことがあります。★まとめ★ 先行詞の質(特定できるかどうか)が違う(a)カンマ(,)を打たない制限用法 特定できていない先行詞の直後で関係詞の導く形容詞節で説明〈a /an ~〉a girl who …〈the ~〉 the girl that…(制限用法とは「どんな?」「どの?」について名詞の直後から説明する用法。)(b)カンマ(,)を打つ非制限用法 特定できる先行詞(固有名詞など), 関係詞の導く形容詞節で補足〈人名〉 Tom, who lives… トム,その人は住んでいる… Mr. Smith, whose wife is… スミスさん,その人の妻は…〈地名〉 London, which is the capital… ロンドン,それは首都である… Paris, where I stayed… パリ,そこで滞在した…〈myなど所有格+名詞〉 my brother, who … 私の兄,その人は…(関係詞の非制限用法は「どんな?」「どの?」について疑問がない名詞(=特定されている名詞)の直後から、追加して述べる用法。)★別の観点から★ カンマは括弧の代わりと見なせる(a) 彗星型人物を話題に出し、ピリオド(.)で話をやめず、カンマ(,)で話を継ぎ足す昨日トムに会ったけど、君に会いたがっていたよ。Yesterday I met Tom, who wanted to see you.昨日私はトムに会いました、その人は君に会いたがっていた…(b) サンドイッチ型人物を話題に出し、その直後にカンマ(,)で話を中断して話題の人物の情報を付加し(伏線を張り)、またカンマ(,)で話の本筋に戻して結論を言う。兄は、大阪に住んでいますが、今週末帰ってきます。My brother, who lives in Osaka, is coming home this weekend.私の兄は(その人は大阪に住んでいる…)今週末帰ってくる。 ★別の観点から★ その2 制限用法は表裏一体の「そうではない●●」を暗示してしまう効果がある。c) We are going to visit Kanazawa, where our uncle lives.の場合、カンマのない制限用法にしてしまうと、「叔父が住んでいる金沢」と「そうではない金沢」(=叔父が住んでいない金沢)を暗示してしまう。日本語では違和感がないかもしれないが、これをきちんと理解してもらう必要がある。昔の参考書には「東京にいる妻」と「そうでない妻」という大人な例がよく挙げられていましたね。★固有名詞である名前の制限用法の好例映画『カサブランカ』では主人公リックに向かってかつての恋人イルザが言うセリフ:The Rick I knew in Paris, I could tell him. He'd understand.But the one who looked at me with such hatred...私がパリで知っていたリックになら言えるわ、彼なら分かってくれる。でもそんなふうに嫌悪で私を見たリックには…(言えないわ)。脚本ではBut the Rick who looked at me with such hatred...になっているが、実際のセリフはthe one whoになっている。映画では『パリ、テキサス』という映画で、フランスにあるパリではなくて「テキサスにあるパリ」というのがありましたね。なつかしい。ルターの提案:confusingな例を示すのはやめましょう。制限用法で「列車に乗っていて事故にあった人はほとんどいない。」非制限用法で「列車に乗っていた人はほとんどいない、その人たちが事故にあった。」ルターの提案:「a/an ~はどんながわからない、the ~はどれを指すかわからないから『こんな』『それ』を説明するために後置修飾で制限する」「固有名詞やmy ~は特定できるからカンマを使った非制限用法」と伝える。