ルター、学校へ行く(通信制高校3年目 その5):「足るを知る」「まず自分を愛すること」
今日の授業では、マドンナのSecretと喜納昌吉さんの「愛は私の胸の中」を聴いてもらい、「足るを知る」「まず自分を愛すること」について、さらに15分語り尽くしました。高校生のみなさんにとって生きる上でのヒントになればいいなあと願っています。以下のような話をしました:幸せや愛は、どこか遠くにいるはずの他者の中に求めるものではなく、「今ここに」「私の中に」あるというメッセージ。同じテーマはメーテルリンク『青い鳥』の物語も教えてくれており、「常識」と言ってもいいくらいなのかもしれないのだが、その意味を実感するまでにかかる時間には個人差がある。チェーホフ『犬を連れた奥さん』は、30代後半という設定の妻帯者のグーロフが人妻のアンナと愛し合うようになる短編小説。「グーロフは女たちと知り合ったり、親しくなったり、別れたりしたが、愛したことは一度もなかった。その他のものは何でもあったが、愛だけはなかった。そして頭が白くなり始めた今、グーロフはまともに、ほんとうに、生まれてはじめて愛したのである」。Secretの2番の歌詞、Until I learned to love myself, I was never ever lovin’ anybody else.(私が自分を愛するようになるまで誰も愛していなかった)という一節が、この歌の要(かなめ)だと思う。こういう話題になると「自分自身を愛することはできない、なぜなら…」と、自分の容姿・境遇・家庭・悲しい体験などの不遇を嘆き始める人がいる。内田樹(たつる)さん(神戸女学院大学教授)は、ブログ記事「自立と予祝について」(2010/11/08)において、「私たちは自分が欲するものを他人にまず贈ることによってしか手に入れることができない。」と断じている。自分は貧しいので与えるものがないと言って、与えることなく受け取るだけの人は、その言葉によって自分自身に「呪い」をかけており、贈与と返礼のサイクルから押し出されてしまう、それはあたかもボールゲームで受け取ったボールを決して手離さないプレイヤーに誰もパスしなくなるのと同じだ、という。そこで私は宮沢賢治の童話『ツェねずみ』を思い起こす…。 どうぞ皆さん、愛の贈与と返礼の良きサイクルに入ってください。それでも自分は無理だと思っている方は、以下のことを参考にしてみてください。アドラーの心理学も有効です。NHK教育Eテレ『100分de名著』で今年2月に取り上げていました。