文春文庫にメールしてみた
ぜひ、平野さんにお伝えいただき、認識を改めていただきたい。 427ページ「オテロの過失は、彼の激情的な性格に起因している。あんなに単細胞で、怒りっぽくなければ、ハンカチ一つでデズデモーナを殺すこともなかっただろう。もちろん、実際にはもっと複雑だが、……」って、「単細胞」だなんてオセロへの名誉侵害です! 数々の武勇伝を聞かせてデズデモーナの心を動かした知的な人物ですぞ。オセロの名誉を守るため、小説から削除して欲しい。『オセロ』の物語が「単細胞の主人公が妻を絞殺」でまとめられて良いはずがない。「イアーゴーの論理のワナにはめられた悲劇」なんです! 「実際にはもっと複雑だが」と言えば済む問題ではない。主人公・蒔野のセリフだから、蒔野の認識に過ぎないっていうなら、何でもOKになってしまう。平野さんの読者が『オセロ』に対する偏った先入観を持ったとしたら、シェークスピアにお詫びできますか? 小説家として罪作りではありませんか。参考:以下、私がブログに書いた記事・『オセロ』:私は四大悲劇では『オセロ』が好きで主人公のオセロへの深い同情を禁じ得ない。オセロが嫉妬という緑の目をした怪物(the green-eyed monster)に取り憑かれ、愛する妻デズデモーナを刃にかけた後でイアーゴーの陥穽にはめられたと知り、アラビアの木が薬効のある樹液を流すような勢いで悔悟の涙を落とし(drop tears as fast as the Arabian trees their medicinal gum)自らも命を絶ったのは何故だったのかをオセロに成り代わって伝えずにはおられないのである。 何故オセロは妻が浮気していると思い込んでしまったのか…、それは「デズデモーナはオセロと結婚するために父を欺いた、そんなデズデモーナが夫のオセロを欺かないはずはない」という「If..., then....(~なら、~ということ)」という論理のワナにはめられたのだった。「If..., then....の罠を抜けるには「風が吹けば桶屋が儲かる」のようにその条件が成立する度合いに疑義を挟むしかない。かわいそうなオセロ。イアーゴー恐るべし。https://www.sparknotes.com/nofear/shakespeare/othello/page_146/Act 3 Scene 3IAGO She did deceive her father, marrying you,