|
カテゴリ:カテゴリ未分類
このブログは「夏の予定や思い出をブログに書いて夏休みのおこづかいをもらっちゃおう」というキャンペーンに参加しています。 なお、興味のある方はこちらもご覧ください。 1話目「夏の思い出の一曲」 2話目「この夏に見たいDVD」 全5話のショートストーリーの、今回が3話目です。 以下本文。 【ズバリ!この夏休みのご予定は?】 お盆というのは8月13日から4日間です。(一部地域除く) 初日の13日は死者を迎える「迎え火」、最終日の16日には「送り火」をするそうです。 世間一般では、大体、この期間に合わせて夏休みを取るわけです。 昔はさておき、この時期に家探しをする人が増えたため、私たち不動産業界も、夏休み返上で仕事をします。 かといって、春の引っ越しや秋の異動の時期に比べれば暇なものです。 私のところでは、お盆休み期間で仕事の予定は1件だけです。 たった1件――その仕事が今から楽しみなのです。 数日前、土地を売却したいというお客様が見えました。 妙齢の女性で、色白の涼しげな美人です。(私の好みです・はぁと) まだそう古くない家が建っているのですが、解体したいというご希望でした。 築年数も浅く、立地が良いので、建物の状態次第では中古戸建としても十分売れそうです。 ご提案したところ、頑なに解体をご希望でした。 何か事情があるのかとお伺いしたところ、実は、その家で殺人事件があったそうです。 そう、その家は『いわくつき物件』だったのです。 ――『いわくつき物件』 簡単に言うと、自殺や殺人などのあった物件。 テレビなどでもよく取り上げられるので、みなさんもご存じでしょう。 (興味のある方は、私の過去ブログを探してもらえると、いわくつき物件のネタがいくつか見つかりますよ~。←宣伝?) 過去の判例ですが、建物を解体することで『いわく』を認めなかったケースがあります。 (要注:解体だけではなく他にも諸条件を満たした場合) 今回のお客様のご希望も、はっきりとはおっしゃいませんでしたが、この判例を踏まえたものなのでしょう。 また、ご家族を亡くされた悲しみからでしょうか。 色白に見えたお客様の顔色は、血色が悪く青白いようです。 儚げな美人。(私の好みの・←くどい) そのお客様が、「一人でさみしいの……」などとおっしゃって、上目づかいで「じぃ~」っと見つめてこられます。 ああ、たまらない!(ハァハァ) お心を痛めていらっしゃるお客様のお力になりたい。 ――私の中のすけべぇ心と良心の共演はさておいて。 お客様は「家を見に来て欲しい」とおっしゃって、8月13日の夜をご指定なさいました。 お盆の初日ですが、前述の通り、私のところにはお盆休みはありません。 快くお引き受けしました。 仕事ではありますが、妙齢の美人のお宅を訪問するのは楽しみです。 しかも夜! お客様との間に『なにか』が起こってしまってはよろしくありません。 心を引き締めます。 ですが、ついつい顔が緩んでしまいます。 でへへへへ……。 そんなとき、社長から電話が入ります。 「さっきの売却の話、場所はどこだ!?」 社長の剣幕に緩んだ顔が凍りつきました。 慌てて場所を伝えます。 「おまっ、その家は一人暮らしの女が殺されたってヤツだろ!」 ――え!? 「相続する親戚もいなくて物納になるだろうって話もある」 そ、そうなんだ……? 「誰と話をしたんだ? その客の名前は?」 私は顧客カードの名前の欄を見て、社長へ伝えました。 「おまっ、そりゃ、殺された女の名前じゃねーか!」 えええええええええ、じゃあ、あれは幽霊? 「ばかやろう! 死人じゃ契約できねーじゃねーか!」 ちょ、社長、食いつくとこチガクネ? 社長は一方的に電話を切ってしまいました。 どうしようか……。 私は途方にくれました。 女性から聞いた自宅の電話番号へかけても、呼び続けるだけで、誰も出ません。 さっき、家まで行って、チャイムを鳴らしましたが、誰も出ません。 マジデカ。 ホントどうしよう……。 13日の夜の予定が、美人と過ごす甘い時間じゃなく、幽霊と過ご(以下略 行かなきゃ行かないで、なんだか憑かれそ、げふんげふん、気が疲れそうです。 13日って、そういえば「迎え火」をする日なんですよね。 違うモノに迎えられちゃいそうです……。 13日以降、このブログの更新が途絶えたら、『迎えられちゃった』と思ってください。 ――これが私の『この夏休みのご予定は?』です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|
|