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カテゴリ:映画
![]() オープニングは、ヒデヨシがともだちではないかと疑いを持たせるような始まり方で、これがラストの伏線になっていたりしてうまい。2015年、人類を殺人ウイルスで大量殺戮したともだちは、関東地方を万里の長城のように壁で囲み、その中に自分の子供時代の頃の街を再現し、更なる地球滅亡へのシナリオに突き進むのであった。 第2章で開催された万博会場は、万博公園として残されて、ともだちの特別大事な場所になっている。しかし、この大阪万博へのこだわり。子供時代に大阪万博に行きそびれた過去が、ここまで引きづるとは。でも、実際に大阪万博のインパクトは、その後開かれたあらゆる博覧会を凌駕するもので、愛知万博なんて本当かすんでしまそう。太陽の塔を始め各パビリオンが皆個性的で、キャラクターと言ってもいいくらい存在感があった。有名なパビリオンなら、だいたいその形状が思い浮かばれるくらい強烈で、子供向けにシールとかもあったくらい。愛知万博ってそういうのはなかったよね。 しかし、人口も減って、壁の外は無政府状態。壁の中は、ともだちの支配下ではあるが一応人並みの生活ができているようだけど、電気・水道・ガス等のインフラ、食糧の生産、物資の供給とかどうなっていたのかね。UFOやロボットなど兵器を造る能力は残っているし。北朝鮮もなんとか国家の体を保っているようだからともだちの政府も同じようになんとか回っているに相違ない。 エンドロールのあとに、ともだちの正体も含め解決編のようなものがついているのだけれど、いくら子供の頃の事とはいえケンヂの生き方からいくとあの終わり方は納得がいかない。ケンヂは、ともだちランドのボーナスステージの機械を使って、過去に贖罪に行くのだが、これも、いくらバーチャルで贖罪してみても、現実に起こってしまったことは取り返しがつかないと思うぞ。それに、ともだちの存在した原因を全てケンヂに転嫁してしまうのもどうかと。子供の頃のいじめが理由で世界を恨むようになるともだちも、人生に転機はいくつかあったと思うのだけど。宗教団体のトップとなって信者からカリスマ的な熱狂を受けたときはどうか。キリコと愛し合って、カンナが生まれたときもどうか。世界を恨み続けるエネルギーがそんなに持続するとは思えないのだが。小学校時代の強気のともだちと、中学時代自殺を考えた気弱そうなともだちも連続性が何か感じられないのだ。 第2章の終わりでともだちの声が変わっていて、あれは、中身が入れ替わったという伏線だったと思うのだけど、第3章では使われませんでしたね。 『20世紀少年』は、1960年生まれぐらいのケンヂたちが、40歳近くになり、人生の折り返し地点、人生守りに入った頃に起きた事件から始まっている。ケンヂもロック歌手になる夢を諦め、自宅の酒屋を継いで地に足を付けた生活を始める矢先の出来事だった。それから十数年余り。五十台半ばのケンヂの歌が民衆に支持され、皮肉なことにある意味、十代の頃の夢を実現できたことで、この話は、現実に疲れた中年の人たちにとってのある種ファンタジーであったかも知れない。 最後に余談で、磯乃サナエ役の福田麻由子ちゃんがかわいかったですね。 →トップに戻る お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010/10/31 11:09:42 PM
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