097652 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

拙者のブログ

拙者のブログ

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

フリーページ

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

角万

角万

カレンダー

楽天カード

お気に入りブログ

暑っつ! New! 結女★11さん

ブツが届いてました… New! ナイト1960さん

サプリの効果?? 20… び〜あらいぶさん

「ひらかたパーク・… リュウちゃん6796さん

コマさんの 気まぐれ… コマさん2022さん

コメント新着

 角万@ Re:次男(10/07) コメントありがとうございます。 このコメ…
 紫の音@ Re:次男(10/07) 頼もしい息子さんですね! いくつになって…
 角万@ Re[1]:俯瞰恋愛(07/15) もちもち)^o^(さんへ えっ、夢みたい。 …
 もちもち)^o^(@ Re:俯瞰恋愛(07/15) 当人同士は普通に居ても、外から見ると『…
 角万@ Re[1]:真夜中のチョコレート(05/07) ちっぴー1215さんへ コロナは愛する人ま…

ニューストピックス

2011年07月09日
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類



大学時代、サークルの1学年上級に平原さんという先輩がおられた。

私は浪人して入学したので実際は彼と同い年であったが、入学年度による上下の規律がそこでは徹底されていた。

大学の駅前に新しく洒落たレストランができたというので、『角万、味見に行くぞ』と平原先輩が私を伴い行く事になった。

ラリラリラ~ン・・・(注)人が歓ぶ時に発する声 
嬉しいな平原先輩の奢りだ。

店に入ると目の前に大きなカウンターがあり、若い女性が元気良く『いらっしゃいませ』と迎えてくれた。

新装のお店、且つ過去見た事の無い内装の色使い、斬新なマークをキョロキョロしながら見ていた。緊張してたのか、私たちはロボットのようにぎこちなくテーブルに着いた。

ウエートレスが来るまで待つ事・・数分間、ところがそのウエートレスが一向に来ない。

私たちは不安になって一緒に、先程のカウンターの女性を伺う。

女性は恐縮そうに『ご注文はこちらで御願い致します』とカウンターに手の平を向けた。

『なーんだ、ハハハ、君も知らなかったのか?・・アヒャアヒャヒャヒャヒャヒャ』
『平原先輩も!?・・・ヒホヒホヒホホホホ』

アハハと言いながら彼の右頬は酷くこおばり、私の頬は酷く引きつっていた。
私たちは愛し合ってもいないのに、お互いを見つめるしか無かった。

そうなんだ。この時が転機だった。

私たちは初めてマクドナルドハンバーガーの注文の取り方を学んだ。



そんな事があってまもなく、サークルで新入生歓迎コンパが盛大に行われた。

しこたま酒を飲まされて酔いつぶれた。

気がつくと北池袋にある、平原先輩の汚い四畳半に寝ていた。汚ねェェェ

・・・・・・・・



夜中にチクショウ、チクショウと押し殺すような声が聞こえてきた。真横で平原先輩が布団にうつ伏せになってすすり泣いていた。

何故彼が泣くのか?

私には分かっていた。彼は先輩や同期生から不当な扱いを受けていた。
田舎から都会に来た、それだけで差別されていた。

ただ私は酔いと吐き気で頭がガンガンする中で、声を掛ける術も無く、布団の中でワイパーのようにのた打ち回っていた。

若い男が二人。

一方はすすり泣き、一方は悶え苦しんでいた。

朝起きると先輩は居なかった。吐かれる事に備え、枕元には大きな青いポリバケツが置かれてあった。私はそれを抱きかかえるように眠っていた。

・・・・(注)酔うと意味の無い物を抱きしめる癖は今も変わらない。先日も居酒屋の便所にある、オマルを抱きすくめ頬擦りをしていて、ゲッとなった。もう、頬ずりはつかない。


『昨日はお疲れ様、大丈夫か? 俺は授業があるから先に行く。盗られるものは無いから、鍵は閉めなくてもいいよ』とメモが書かれてあった。

泣いていたとは思えない晴れ晴れとした字で、メモから字が溢れ出ていた。

昨日の事は本人には勿論、誰にも言わない事を私は心に決めていた。

部屋を見回すと、部屋中にマルクスや梶井基次郎の本がギッシリと積んであった。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2011年07月10日 01時15分34秒
コメント(15) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.