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新入社員時代、私は総務部より支店長会議の会場準備を仰せ付かり、 別室へテーブルやマイク、入室の際のスリッパ等の用意に余念が無かった。 会議が終わり全国から来た各支店長が会議室のスリッパを脱ぎ、 再び靴を履いて続々と退出して行った。 私も頃合を見て本社へ戻った。 会議に出席した最後のメンバーが戻っているのに、何故か専務だけが帰って来ない。 社員がざわめき出した頃、 専務から総務部へ電話連絡があった。 『オーイ、誰か僕の靴知らないか? 僕の靴がないんだ。・・・・・誰かの革靴が・・ ここに一足があるけれど・・・』 『全く誰なんだ? 滞りなく会議が終わると思ったのに!』 私は自分の仕事に水を差されたようで、大変不快な思いをした。 そう思ったのも束の間、私に注がれる先輩諸兄の大量な視線に気付いた。 何故かしら? と思いながらそれをしかと受け止めて、そのたくさんの目玉から逃れる ように、私は自分の足元を見つめた。 『おっ! あるじゃないか、こんな所に』 専務の靴は高級感溢れ、光り輝きながら俺の足にジャストフイットしていた。 だって間違えちゃったんだもの。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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