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カテゴリ:観劇・映画関連話
(昨日の“その2”からの続きです)
では、当日の演目のご紹介とその感想などを書いてみたいと思います。 何しろ歌舞伎初心者なので、誤記・暴言もあるかと思いますが、どうぞご容赦下さい(年代等については、観劇当日に歌舞伎座で買った↓“筋書(プログラム)”に拠っています)。 あらすじ:(そんな史実は無かったと思いますが・・・)源頼朝側に味方して北条時政と戦をしていた三浦之助義村(中村橋之助)は身体に深い傷を負いつつ、「最期に一目だけでも会いたい」と、母の元を訪ねます。病の床についていた母・長門(坂東秀調)は、三浦之助と恋中にあった時姫(中村福助)に看病されていました。 その母の家にも敵の追手は忍び込み、敵の大将・北条時政の娘・時姫を奪い返そうとしますが、佐々木高綱(坂東三津五郎)の計略によって撃退されます。三浦之助は起死回生の策として、時姫に父・時政を斬る事を承諾させ、再び戦場へ戻るのでした。 元々は、人形浄瑠璃のための作品(1770年初演)。最初は“大阪夏の陣”の話だったのだそうですが、その内容が“徳川批判”染みていて幕府から上演禁止処分を受けたため、新たに時代設定し直したんだそうです。それが後に歌舞伎に写されたそうで。 それぞれ、佐々木高綱は「真田幸村」、三浦之助義村は「木村重成」、時姫は「千姫」、配役としては登場しませんが、話の中に出てくる時姫の父・北条時政は「徳川家康」がモデルなんだそうです。 当日観た三種類の演目中、この“鎌倉三代記”が、私が今までイメージしていた“歌舞伎”に一番近い、と思いました。役者さんたちの所作、台詞の言い回し、衣装の色彩の鮮やかさ・・・ オペラグラスを持参したお陰で、三浦之助の凛々しさ、時姫の艶やかさ、高綱の猛々しさなどを手に取る様に感じる事ができました。 また音楽的な点では、舞台上手で演奏される“竹本”の担当ペアが2度交代する、という点も興味深かったです(舞台演出上の理由でしょうか 演奏の難易度上の理由でしょうか) あらすじ:信濃・戸隠山を通りかかった平維茂(市川海老蔵)が、高貴な女人に化けた“鬼女(坂東玉三郎)”に襲われるが、山神(中村勘太郎)の助けにより難を逃れる。 舞台は、正面に老松が描かれた“能舞台”。そんな舞台で演じられる歌舞伎を“松羽目物”と言うんだそうです。その多くは明治・大正時代につくられたそうですが、「今回は構成も新たになりました(十二月大歌舞伎のチラシより)」との事。 内容は、能の“紅葉狩”を歌舞伎化したもの。舞台上手には歌舞伎の伴奏を務める“竹本連中”が、舞台左半分奥には能の伴奏を務める“長唄囃子連中”がそれぞれ控えています。 まずは、女人に化けた鬼女が舞台に登場します。その“5人の分身”とともに・・・ こ、これにはちょっと不意を突かれました。こんな設定が歌舞伎にもあるんですね。ビックリしました。 しかし、高貴な女人6人の色彩鮮やかな衣装と、舞の素晴らしさ。その舞も、紅葉狩りのために戸隠山中を散策している時、平維茂を引き止めようとする時、平維茂が眠ったかどうか確かめる時、そして・・・ 本性を現して平維茂を襲う時。その時々での舞の変化にも、魅了されてしまいました。 さらに、場面によって交互に演奏される“竹本”と“長唄”。話が盛り上がる場面ではその両方が同時に演奏される事もあり・・・ その音楽の迫力に、圧倒されてしまいました。 この演目は、まさに“能”と“歌舞伎”のコラボレーションですね 私は、観ても聴いても、とても楽しかったです。 浄瑠璃「風狂川辺の芽柳」 あらすじ:元武士で今は筆屋を営む船津幸兵衛(中村勘三郎)は、父子4人で貧乏暮らし。末の子供はまだ乳飲み子で、長女・お雪(中村鶴松)は母を病で失った時に、そのショックから盲目に。 借金の取立てに来た金貸金兵衛(市川猿弥)らに家財道具や僅かな手持ちの金も持っていかれ、途方にくれた筆屋幸兵衛は一家心中を考えるほどに思いつめ、ついには気が触れて乳飲み子とともに川へ身投げするが・・・ 1885(明治18)年初演。明治初期の世相を題材にした“散切物”の代表作なんだそうですが、これは・・・ 『こんな歌舞伎があるんだ』と、私は率直に驚きました。 色鮮やかな衣装もない、役者の顔に“隈取”もない、役者が見得を切る事もない、舞もない・・・ 設定が明治初期、という事だけ除けば、ほぼ現代の演劇と一緒。そんな印象を私は持ちました。 台詞の内容も、イヤホンガイドの手を借りなくても、ほとんど理解できました。 典型的な“人情話”。私の隣の席の70歳ぐらいの男性の方は、演目の最初から最後まで、ハンカチで目元をしきりに拭いていらっしゃいましたね・・・ “正直者が馬鹿をみる”という、今の世の中にもありそうなストーリーが観ていて辛かったですが、回りにはちゃんと幸兵衛一家の事を見ていて助けてくれる人たちがいて・・・ 最後にはその幸兵衛の“正直さ”が報われる、というハッピーエンドで、ホッとしました。 “竹本”とは別に、演目の途中でストーリーには直接関係ない形で演奏される“清元”の明るい調べも、貧しくて苦しい幸兵衛の生活振りを浮き立たせていて、とても効果的だったと思います。 先代(十七代)の当たり役に当代(十八代)勘三郎が初挑戦、という事で話題になっていましたが、勘三郎さん、こういった人情味溢れる役にはピッタリではないでしょうか。ところどころに“笑い”の要素も入れつつ、要所要所ではその演技力を最大限に発揮して、泣かせる。さすがだと思いました。 「中村屋」という客席からの掛け声も、何度聞いた事でしょう。 観劇が終わって、歌舞伎座の外へ出て・・・ 『いやー、こんなに面白いのならば、もっと早く観ておくんだった・・・』 ↑観劇後の、私の素直な感想です。歌舞伎の世界、初心者の私でしたが、堪能しました。 ぜひ近いうち、また歌舞伎を観に行きたいと思っています。 昨年最後の土曜日の記事でも書きましたが、次回はぜひ、市川亀治郎さんの“女形”を・・・ そして、次回はぜひ、ちゃんと“花道”が見える席で・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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