追悼 谷啓さん
11日(土)、ミュージシャンでありコメディアンであり俳優でありタレントである谷啓さんが、急逝されました。享年、78。色々な報道を見る限り、ご自宅の階段で転倒されたか転落されたか、頭部を強打しての突然の出来事だった様ですね。谷啓さんといえば、やはり私には、「ハナ肇とクレージー・キャッツ」の一員としての活躍が思い出されます。私は、オンタイムでクレージー・キャッツの全盛期を知っている世代ではありませんが・・・テレビかラジオで初めて「スーダラ節」を耳にした時は、本当に衝撃的でした。『世の中、こ、こんなテキトーでいい訳がない!』なんて、最初は軽い“反感”を抱いた様な気がしますが・・・ 歳を重ねていくうちに、数々のクレージー・キャッツの楽曲の「奥深さ」が理解できてきた様な気がします。そして、20年程前だったでしょうか。↓こんな2枚組のCDを購入しました。日常生活の中で、ひょんな事から取り付かれてしまった、自分自身のさまざまな「悩み」。それらが長引き、自分の中で煮詰まってしまい、もうどうにもこうにも解決策が見つけられそうにない。そんな時・・・このCDを聴く事で、心が楽になり、今一度自分の悩みを客観的な視点から見つめ直し、やっと解決策が見つかった・・・そんな事が私自身、何度もあった様な気がします。「だまって俺について来い」を聴いて、『あ~、そうだな。きっと、そのうち何とかなるだろう』、なんて思ったり・・・「五万節」を聴いて、『あ~、そうだな。きっと昔の同級生たちも今、頑張っているんだろうなぁ』、なんて思ったり・・・「余裕がありゃこそ」を聴いて、『あ~、そうだな。人生、余裕が無いとダメだよなぁ』、なんて思ったり・・・色々な気付きや元気をもらった、私は、そんな気がします。クレージー・キャッツの楽曲のメインボーカルは、その多くが植木等さんですが・・・谷啓さんも、時々ボーカルとして、CDに登場されています。谷啓さんが、その特徴的なボーカルを聴かせてくれている曲としては、「ホンダラ行進曲」が挙げられると思います。この曲、“4番”までありまして、その歌唱は、1番が植木等さん、2番がハナ肇さん、3番が谷啓さん、4番はクレージー・キャッツのメンバー全員、という構成なのですが・・・曲のサビの部分のキーが、谷啓さんだけ1オクターブ高いんです。その、コミカルさ・・・クレージー・キャッツの音楽にとって、非常に効果的なアクセントになっていた事は、誰もが認めるところではないかと思います。この、谷啓さんの「1オクターブ高い」ボーカルは、後年、大瀧詠一さんがクレージー・キャッツをプロデュースした時の「実年行進曲」でも見られます。往年のクレージーファンには、きっと堪らなかった事でしょうね。高い音楽的な実力とセンスを谷啓さんが持っていらしたからこそ、実現した事だと私は思います。今回の、この突然の報に接し、私は今の気持ちを、↓こんな言葉で表現したいと思います。(誤解を恐れずに書きますが、これは当然の如く、私の、谷啓さんへ対する感謝と追悼の気持ちを込めています)『ハラホロヒレハレ、ハラホロヒレハレ、ハラホロヒレハレ・・・』関係者の方々には、謹んでお悔やみ申し上げます。そして・・・谷啓さんのご冥福を、心からお祈り申し上げます。