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カテゴリ:観劇・映画関連話
最近、雪の日が多いですね。3日の日曜日も、雪でした・・・
昔の話で恐縮です。 昨年の8月25日(土)、私のブログの土曜日にこんな記事を書いた事がありました。その時以来私は、ずっと『吉田鋼太郎さん出演の舞台を観たい』と思っていたんですが・・・ 3日(日)、「リア王」を観に、彩の国さいたま芸術劇場へ行ってきました。 この舞台シリーズは1998年、財団法人埼玉県芸術文化振興財団の主催で始まり、その芸術監督・蜷川幸雄さんの手によって上演されています。シェイクスピアの全37作品を全部上演しようという企画なのですが、今回はその第19弾。ちょうど中間地点、という事になりますね。 『37作品中のひとつぐらいは観ておきたい』、と思っていたのですが、今回、『吉田鋼太郎さん出演の舞台を観たい』という希望とあわせて叶える事ができました。 シェイクスピアの“四大悲劇”のうち、一番最後につくられた「リア王」。 簡単にあらすじをご紹介しますと・・・ 古代ブリテン国を治めるリア王(平幹二朗)は、自分が年老いた事を察し、自分の3人の娘に領地を分け与えようとします。それに先立ち王は、自分に対する愛情の深さを言葉によって示す様に3人の娘に求めます。長女ゴリネル(銀粉蝶)と次女リーガン(とよた真帆)は父親に対する上辺だけの美辞麗句を並べますが、三女のコーディリア(内山理名)は「父親を愛するのは娘として当たり前の事。私は、お父様の事を愛している」と、必要以上に言葉にしようとしません。それがリア王の怒りに触れ、コーディリアは勘当され、無一文同然でフランス国王の下へ嫁いでいきます。 ブリテン国は長女と次女に分け与えられますが、もらえる物をもらってしまった後は二人とも父に対して邪険な態度をとります。愛する娘に裏切られたリアは怒り狂い、絶望し、半ば正気を失い・・・ ほとんど身ひとつ同然で、嵐荒れ狂う外に放り出されます。 果たして、リアは愛する娘・コーディリアと再会できるのか。そして、ブリテン国の運命は・・・ (あらすじ、終わりです) 吉田鋼太郎さんは、リア王の次女・リーガンの夫・コーンウォール公爵に仕える「グロースター伯爵」役でした。舞台は、そのグロースター伯爵とケント伯爵(瑳川哲朗)が談笑しながら「王座の間」の前までやってきて、他の家来たちと一緒に王の登場を待つ、という場面から始まりました。 「王座の間」の扉が開くと・・・ なんと、舞台奥には「老松」の絵、その右側には紅梅の木、左側には白梅の木・・・ まるで“能舞台”の様な趣で、驚きました。 その後も、役者さんの立ち居振る舞いとか、舞台上のセッティングとか、BGMなど、『恐らく、“能”や“狂言”を意識しているんだろうなぁ』と思わせるところが何箇所かありました。 例えば、リア王の事を“道化(山崎 一)”が拍子を付けて歌う様にはやしたて、からかう場面などは、非常に“日本の古典芸能”的なものを感じました。 1階客席の、縦の2本の通路を“花道”として頻繁に使っていましたし・・・ これが、「蜷川幸雄 演出」の舞台の味のひとつなんでしょうね。 リア王役の平幹二郎さん、その舞台演技を拝見するのは今回が初めてだったんですが・・・ 国中の権力を掌握する王から次第に没落してゆき、身内の裏切りにより徐々に正気を失っていく様子を、見事に演じていらしたと思います。その鬼気迫る演技には、私は恐怖心すら覚えました。 グロースター伯爵役の吉田鋼太郎さん、その声を聴いた時、私は『あ、あの大河ドラマで聴いた声と同じだ』と、嬉しくなってしまいました。とても大きく太く、通る声。 しかし舞台後半、嫡男とともに、腹違いの息子の罠にはまっていく様子は、観ていてとても辛かったです。特に、両目の光を失う場面は・・・ 心臓が止まるかと思いました。 コーディリア役の内山理名さん、今回が“初舞台”との事でしたが、王に一番愛されていたにもかかわらず誤解から勘当され、その後、失意のうちに悲劇の荒波に流されていく哀れな様子を、良い意味で初々しく演じられていたと思います。 全体的な印象で言えば・・・ 本当に重厚で骨太な舞台だったと思います。舞台の重苦しい雰囲気にのみ込まれ、自分が瞬きや呼吸すらしているのか分からなくなりそう、そんな心持ちでした。 今回、私はオペラグラスを持参して、手に持っていたんですが・・・ 一度もそれを覗きませんでした。覗いてはいけない様な、そんな厳しい空気が、劇場全体に漂っていました。 それほど・・・ 本当に素晴らしい舞台でした。 劇の上演が全て終了し、出演された俳優・女優の皆さんがカーテンコールに応えている時、席から立ち上がって拍手をするお客さんがだんだん増えていきました。とても自然な気持ちで、私もそのスタンディングオベーションに加わりました。 劇場を出る時、私は軽い頭痛を感じていました。それほど、本当に“重い”舞台でした。 でも、恐らくは国内最高の舞台のひとつを観る事ができた、という充実感と満足感が、私の身体を満たしていました。 今のところ、私はまだ、『もう一度、彩の国シェイクスピア・シリーズを観に行きたい』という気持ちが湧いてきません。「リア王」だけで、もう頭も胸もいっぱいになってしまいました。 しばらく様子を見て、観たいと思うレベルに体調が回復したら、またその時に改めて考えよう。 今は、そう思っています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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