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フィギュアスケート時々バレエ~浅田真央とパトリック・チャン応援記

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2008年12月23日
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このように考えてくると、この物語は終始一貫、ロットバルトが王子を操り、彼を思いのまま支配し、そして完膚なきまでに勝利する、というストーリー展開になっているように思います。オデットと王子が愛を誓い合ったのを見届け、すぐさまロットバルトは王子のもとへオディールを差し向ける。オディールを王子がオデットと間違えて、彼女に愛を誓ってしまうことなど、これもまたロットバルトにとっては簡単に予測の付いたことだったでしょう。事情を知った王子がオデットの元へ駆けつけても、もう後の祭り。ロットバルトは恋人たちを永遠に引き離してしまいます。オデットを奪われ、ただ1人、呆然と立ち尽くすジークフリート・・
勝者はくどいようですがロットバルトであり、まさに悪魔が勝利を収めたところで幕、という他ではなかなか観ることの出来ない演出です。ロットバルトを、ジークフリートの「運命」を象徴するものとして考えると、まさにジークフリートは、巨大な運命の力の前にはなす術も無く、ただ運命の大きな渦の中に巻き込まれ、必死にもがいてはみたものの、結局はどうすることも出来なかった。オデットの中に理想を見つけ、夢を見つけた彼だったけれど、結局はそのどちらも手にすることは出来ず、むしろ残酷極まりない形でそれらを奪われ、もの凄く不幸な状態で幕が降りる。この救いようのないラストシーンは何なのか。何ともいえない閉塞感、無力感のような思いに一気に襲われる。ジークフリートの若く純粋で無垢な魂は、きっとこの出来事の為に粉々に砕け散ってしまうことだろう。PTSDに悩まされたりして(笑)。ただの「夢の中の出来事」と片付けてしまうには、あまりに後味が悪すぎる。あるいは全く逆に、この出来事をひとつの大きな試練として考え、それを経験したことによって、今までの純なだけだった、純粋培養の王子様が一回りも二回りも成長する、そういう契機、ある意味大きな人生勉強となった、と解釈することも出来るかも知れない。けどな~、観終わった直後の感覚とかから考えると、あんまりそういった希望の持てるような感じはしないんだよね。何と言うか、ほんと始まったばかりの彼の人生が、いきなりあまりに大きな力によって翻弄されまくった挙句、最後の悲劇はまさに決定的とも言えるほどのもので、もう立ち直れませんわ、私がジークフリートだったら・・あ~、可哀相なジークフリート!一体彼が何をしたって言うのよ~。何の因果でこんな目にあわなきゃならない訳?なんて、ほんと、ジークフリートに同情してしまいます。しかしまぁ、人生ってこんなもんだよね・・なんて思う気持ちがあるのも事実。不幸な星の元に生まれてくるとこんなもんだよ、なんて。
ロットバルトは単なる悪魔ではなく、私には「運命」そのものの力、のように思えました。
運命の前に人間というものはいかに無力であることか!勿論、困難な運命に遭遇しても、力強い意思の力によってそれを乗り越えていく、ということだってあり得ることだけれども、人間というのは弱いもの。その「弱さ」を真正面から描き出したのがこのグリゴローヴィチ01年版「白鳥」、みたいな印象を持ちました。この版にあっては、オデットもオディールも、それを描き出す為の一手段、ある意味「道具」に過ぎないのですね。だから観終わってからの感想も、オデットの印象というのは他の版に比べると、もの凄く弱い、薄いものにならざるを得ないのですね。テーマはあくまで運命に翻弄される人間。運命に弄ばれる無力な存在としての人間(だと私は思う)。正直私は、ものすご~く気に入りました!今まで観た「白鳥」の中でもしかして一番好みかも知れない。なんていうか・・この「無力感」「どうしようもなさ感」が逆説的ではあるのですが、もの凄く好きです。気に入りました。





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最終更新日  2008年12月23日 06時56分44秒
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