こころとからだの相談室:白板症について
3か月ほど前から舌の縁が白くなり、唇の裏が少しただれる症状があったので、組織検査をしてもらったところ、軽度の異形成が見られ、白板症(「白板症の範囲の所見」)と診断されました。喫煙、飲酒はしません。舌が大きく(体調によるものと思われます)、舌が歯に触れるのでその刺激によるものだろうと言われ、経過を観察することになりました。 実は閉経したばかりなのですが、ホルモンと白板症の発症に関係があるのでしょうか。また、この2か月ほどで体重が2kgぐらい減りました。これも白板症と関係があるでしょうか。症状が出るのとほぼ同時期に血圧も高くなりました。心身のストレスもありました。飲酒や喫煙をしない女性が白板症になった場合はがん化する割合がそうでない人よりも高い、という記述を読んだことがあります。ストレスや食事などに気をつければ、がん化の予防や自然治癒の可能性はあるのでしょうか? ほかに気をつけるべきことがありましたら教えてください。(51歳、女性、身長:158.5cm、体重:42.5kg、既往症:子宮筋腫、子宮腺筋症、貧血、 高血圧) ◇ 回答 口の中の白板症とは、粘膜の角化が亢進することによって生じた白斑状の病変をいいます。病理組織学的には上皮の過角化から、上皮異形成を伴うもの、さらには上皮内がん、浸潤がんが含まれますが、一般的には上皮内がんや浸潤がんは「がん」といい白板症には含めません。しかし、白板症はその3.1~16.3%ががんに変化することがあり、口腔がんの代表的な前がん病変とされています。 組織学的にみた上皮の乱れを異形成と称します。その程度は軽度、中等度、高度に分類され、異形成が強いほどがん化する危険性が高いと考えられています。 白板症のがん化に関しては、前述の上皮異形成のほかに、女性ではがん化しやすく、また50歳以上でもがん化しやすいとされています。また、表面が不均一なものや、舌、頬粘膜、口腔底に生じたものはがん化しやすいとされています。 お尋ねの白板症の発症とホルモンについては、現在までのところその因果関係は明らかにされていません。しかし、女性の白板症でがん化率がやや高いことを考慮すると、がん化にホルモンが関与している可能性はあると思われます。血圧や心身のストレスと白板症発症との関係については、まずないものと思われます。体重減少があるとのことですが、白板症そのものが全身的な影響を与えることはほとんどなく、またその症状からは摂食障害などの原因は考えにくく、白板症の診断時期にあったストレスや白板症診断に伴う心労などによる可能性が大きいものと思われます。 がん化の予防や自然治癒についてのお尋ねですが、おっしゃるとおりストレスや緑黄色野菜の摂取や刺激物を控えるなどの食生活上の注意は、がん化の予防には有効であると思います。舌が歯に触れその刺激が原因であろうと診断されていることから、歯を削るなどして刺激を取り除くことは必須事項でしょう。