共済の魅力と活用法
読売 経済 ファイナンシャル・プランナー 竹下さくら いま、ジワリと共済に関心が高まっています。まさかの事態に備えた保障商品という点では、保険会社の扱う保険と同じ位置づけで利用されていますが、監督省庁が異なったり、商品性などにも違いがあります。まず今回は、共済のイロハと魅力についてお伝えします。今は“共済”といえば認可共済 共済と聞いて思い浮かべるのは、認可共済と、ひと昔前までよく見聞きした“無認可共済”ではないでしょうか。かつての無認可共済は、2008年4月から原則として金融庁の監督下に入り、移行期間中のもの(特定保険業者)も今年度中には、(1)保険会社になる(2)少額短期保険業者になる(3)廃業する(4)保険業法対象外の形で継続する(下表参照)――のいずれかにすっきり決着する予定です(公益法人が行う保険・共済事業は別途)。●保険業法の適用除外団体(保険業法の規制対象外)の例 他の法律に特別の規定があるもの 地方公共団体が住民を相手方として行うもの 企業内共済 労働組合内の共済 学校内共済 地縁団体内共済 1,000人以下の者を相手方とする小規模共済 ※金融庁のホームページ情報をもとに作成 したがって、いま“共済”というと、認可共済あるいは「(4)保険業法の対象外の形を取る団体」のいずれかということになります。今回は、認可共済のうち消費生活協同組合法(生協法)に基づき厚生労働省の認可を受けて設立された、“保障”の生協である「都道府県民共済」「全労済」「CO・OP共済」に焦点をあて、共通した特徴について確認します。魅力1:商品性のわかりやすさ 共済商品の大きな魅力の一つが、保障の“わかりやすさ”です。「都道府県民共済」や「全労済」のパンフレットを、銀行のATMコーナーやコンビニのカウンター下などでよくみかけることからもわかるように、基本的に、自分で見て判断して申し込める内容になっています(ちゃんと話を聞いてからという希望者は、共済ショップなどで相談に乗ってもらうことも可)。 また「CO・OP共済」でも、生協利用者がパンフレットを見て申し込む流れになっています(首都圏で複数名の希望があれば、共済担当のファイナンシャル・プランナーが保障の考え方などの説明に赴くなどのフォローもあるようです)。 特に身近なのが、掛金一律型の共済です。「都道府県民共済」では“生命共済”、「全労済」では“こくみん共済”、「CO・OP共済」では“たすけあい”というネーミングで親しまれており、20歳で入っても50歳で入っても、毎月1,800円とか2,000円といった手軽な支払額になっています。なお、保障内容は死亡保障・医療保障などが組み合わさった複数のプランの中から、自分のニーズn>ホーム社会スポーツマネー・経済政治国際環境科学地域特集 トップニュース株価為替投資信託 トレンド投資講座相談室企業ナビマネー特集 ホーム>マネー・経済>投資講座>女性FP発ポイントレッスン>保障設計 天気地図ショッピング雑誌交通映画写真動画データベースサイト案内 投資講座 一覧株価を読む資産運用入門為替を読む女性FP発 ■ 女性FP発ポイントレッスン:保障設計 一覧家計管理金融全般老後設計保障設計 共済の魅力と活用法(1) ファイナンシャル・プランナー 竹下さくら いま、ジワリと共済に関心が高まっています。まさかの事態に備えた保障商品という点では、保険会社の扱う保険と同じ位置づけで利用されていますが、監督省庁が異なったり、商品性などにも違いがあります。まず今回は、共済のイロハと魅力についてお伝えします。今は“共済”といえば認可共済 共済と聞いて思い浮かべるのは、認可共済と、ひと昔前までよく見聞きした“無認可共済”ではないでしょうか。かつての無認可共済は、2008年4月から原則として金融庁の監督下に入り、移行期間中のもの(特定保険業者)も今年度中には、(1)保険会社になる(2)少額短期保険業者になる(3)廃業する(4)保険業法対象外の形で継続する(下表参照)――のいずれかにすっきり決着する予定です(公益法人が行う保険・共済事業は別途)。●保険業法の適用除外団体(保険業法の規制対象外)の例 他の法律に特別の規定があるもの 地方公共団体が住民を相手方として行うもの 企業内共済 労働組合内の共済 学校内共済 地縁団体内共済 1,000人以下の者を相手方とする小規模共済 ※金融庁のホームページ情報をもとに作成 したがって、いま“共済”というと、認可共済あるいは「(4)保険業法の対象外の形を取る団体」のいずれかということになります。今回は、認可共済のうち消費生活協同組合法(生協法)に基づき厚生労働省の認可を受けて設立された、“保障”の生協である「都道府県民共済」「全労済」「CO・OP共済」に焦点をあて、共通した特徴について確認します。魅力1:商品性のわかりやすさ 共済商品の大きな魅力の一つが、保障の“わかりやすさ”です。「都道府県民共済」や「全労済」のパンフレットを、銀行のATMコーナーやコンビニのカウンター下などでよくみかけることからもわかるように、基本的に、自分で見て判断して申し込める内容になっています(ちゃんと話を聞いてからという希望者は、共済ショップなどで相談に乗ってもらうことも可)。 また「CO・OP共済」でも、生協利用者がパンフレットを見て申し込む流れになっています(首都圏で複数名の希望があれば、共済担当のファイナンシャル・プランナーが保障の考え方などの説明に赴くなどのフォローもあるようです)。 特に身近なのが、掛金一律型の共済です。「都道府県民共済」ではに合ったものを選択する形になっています。魅力2:掛金の安さ もちろん、掛金(保険料)負担の軽さも大きな魅力です。月々の掛金ベースでの比較だけで「共済は安い」とする声もあるものの、最近のネット保険なども視野に入れると、実は一概にそうとも言えない状況です。しかし、共済の多くは、毎年の決算で割戻金(剰余金)を高い割合で還元しており、その還元率も考慮するとかなり家計に優しい負担になるお楽しみがあります。 たとえば、前述の掛金一律型共済においては、毎年、前年度の掛金に対し20~35%程度の割戻金(剰余金)の還元があります。仮に、毎月の掛金が2,000円だとすると年間で2万4,000円を払い込むわけですが、割戻金が30%の例では、次年度に7,200円が還元されることになります。これを月々にならすと600円なので、実質的な掛金月額は2,000円-600円=1,400円で済んだと考えられるわけです。この割安感が、根強い人気の一つになっています。 いまは、保障に“わかりやすさ”が強く求められる時代です。保障内容のわかりやすさ、掛金のわかりやすさ、という共済の魅力は、自分で納得して保障を確保したい人のニーズに応えられる設計になっていることは確かです。認可共済の商品ラインナップ例 共済の商品ラインアップや特徴は、共済ごとで様々です。以下では、全労済の例を紹介します。 全労済の主力商品といえば、年齢に関わりなく掛金が一律(終身医療タイプを除く)の「こくみん共済」です。世代別のニーズにそった、入院・通院・介護支援などの生存保障から、死亡・重度障害までのトータルな保障が、手頃な掛金で得られる設計になっています。 働き盛りの世帯向けには「総合タイプ」「総合2倍タイプ」「大型タイプ」の3種類のタイプのほか、「医療タイプ」「終身医療タイプ」などがニーズに合わせて選べます。また、子供向けの「キッズタイプ」や年配者向けの「シニア総合タイプ」「シニア傷害タイプ」があります。 たとえば、「総合タイプ」は月々の掛金が1,800円で、満15~59歳までの健康な人が加入できます。保障内容は、死亡時の保障(交通事故1,200万円、不慮の事故800万円、病気400万円)、入院時の保障(交通事故・日額5,000円、不慮の事故・日額3,000円、病気・日額1,500円)、身体障害保障(交通事故24~540万円、不慮の事故16~360万円)、常時介護400万円の保障が、ワンセットになっています。 ちなみに、2009年1月から、生涯にわたる医療保障プランの充実と、セカンドライフに向けての保障ニーズに応える4タイプが、「こくみん共済」の新たなラインナップとして登場の予定です。 なお、全労済では「こくみん共済」のほかに、より充実した保障や、より厳選した保障を検討する人向けに、以下の共済も用意しています。 ・新総合医療共済…けがや病気に備えた医療保障としては、掛金アップがなく生涯にわたり保障が続く「終身医療プラン」と、5年・10年ごとに見直しができる「定期医療プラン」の2タイプ。さらに、終身医療プランには、ベーシック、総合、三大疾病プラス、女性疾病プラスの4タイプがあり、定期医療プランには、総合、三大疾病プラス、女性疾病プラスの3タイプがあります。長い人生を支える介護保障には、「終身介護プラン」と、医療保障付きで契約期間が5年・10年の「定期介護プラン」の2プランがあります。 ・新せいめい共済…「終身生命プラン」と「定期生命プラン」の2タイプ。「終身生命プラン」は病気などによる死亡保障で最高2,000万円、「定期生命プラン」では、病気による死亡保障も最高3,000万円までカバーできます。 ・ねんきん共済…老後の年金保障に遺族保障がついた生涯保障。加入後の生活変化に合わせて契約内容を変更できます。 また、損保分野の保障としては、自然災害保障付火災共済、マイカー共済、自賠責共済、交通災害共済などの取り扱いがあります(詳細は、http://www.zenrosai.coop)。 全労済では、総会などを通じ組合員のニーズを汲み上げ、新商品の開発や制度の改定などを行っているとのことでした。 次回は、共済利用時に必要な組合員になるための要件と、活用事例、留意点などについて言及します。 保障設計の個別相談においては「共済で設計して欲しい」というオーダーをされる人が少なからずいます。そうした人にあるのは、共済に対する絶大な信頼感とでも呼ぶべき感覚です。うまく表現できないのですが…、保険会社に対するそれよりも距離を短く感じているというようなイメージです。 毎年かかさず剰余金の案内をしたり、組合員のニーズに合わせて商品改定していくといったこまめな姿勢がそうした絆を育むのかもしれないと、個人的には考えます。