パレスチナ問題
久しぶりの更新です。というのは、同時展開している日本史の先生が2年生の校外研修(平和学習)の引率で1週間不在だったので、「日本史」と「世界史」のコラボ授業をしました。だから、定期考査とコラボ授業で計2週間、新たな世界史の授業は行わなかったので、ブログを更新しませんでした。さて、レギュラーの授業を再開.....と思っていたら、トランプ米大統領がイスラエルの首都を移転するというニュースが。ご存じのとおり、世界的にも大きく取り上げられました。第一次世界大戦を終えてあまり時間がたっていないので、これは「パレスチナ問題」を扱わない手はないですよね。ということで、今日から2時間にわたって、「パレスチナ問題」について、学びを深めてみようと思います。ただここからは、授業の最初に【今日のテーマ】と【今日のゴール】を明示し、生徒たちに授業で何を学ぶのかをより意識させたいと思います。これは、先日参加したInteractive teaching forum の内容を反映させたものです。「自分の教室に持ち帰ろう」がテーマでしたから。☆1時間目【今日のテーマ】 パレスチナ問題とは何か?【今日のゴール】 パレスチナ問題に対しどうすべきだったのか?今回は、解説はかなり減らして、iPadを使って自分たちがわからない用語を調べ、こちらが設定した問いに答える形をとりました。【説明1】(15分) なぜ今、パレスチナ問題なのか、について説明。 そしてiPadを配り、何をどのように調べるかを説明しました。 さらに、今日設定した「テーマ」と「ゴール」まで、 一気にKP法で説明。【問い1】(15分) なぜ反ユダヤ主義の風潮が高まったか? (iPadや図録で、その理由を調べる)【解説1】(10分) 大きく、宗教的・経済的・政治的な理由に分けられる。 特に宗教と経済は、よく言われること。 宗教については、ユダヤ人はイエスを総督ピラトに引き渡し、 十字架刑を受けさせたのは、ユダヤ人の裏切り弟子ユダ。 しかも、当時イエスと対立していたのは、ユダヤ人の律法学者たち。 キリスト教からみれば、ユダヤ教は敵対するものという見方もあるのです。 授業では、ローマ帝国でキリスト教が公認、そして国教化する過程を復習し、 ユダヤ教が追い立てられた話もしました。 続いて、経済的理由。 ユダヤ人は商売に成功した例が多く、人数が多いとは言えない彼らは、 相対的に「金持ち」のイメージができていきます。 実際、シェークスピアの「ヴェニスの商人」でも登場するシャイロックのように、 高利貸しも一定数いたとされています。 人に金を貸して、その利息で食べているユダヤ人を、 快くは思わなかったでしょう。 これだけではありませんが、彼らが嫌われる理由をいくつか話してみました。【作業1】(10分) 年表を参考に、教科書やiPadを使って、プリントの空欄を埋める。 1時間目はここで終了。 意外と時間がかかってしまいました。 「ゴール」までたどり着けなかったので、明日は少し急ぎ足かな。☆2時間目 本来は【今日のゴール】まで辿りつかなければいけなかったのですが、 日本史とのコラボ授業の感想とか、これまでの10か月分の授業の振り返り などをしていたら、タイムオーバーになってしまいました。 タイムテーブルを決めていくのは重要だけど、「授業は生き物」だから臨機応変にやることも必要と判断しました。【問い2】(10分)・パレスチナ問題の直接的原因は何か?・国際的世論はどの方向に動いたのか? 今回は解答プリントを配らず、自分たちの力で解決するようにしました。 ただ、口頭で少しだけ補足説明しました。 最初の問いは、イギリスの二枚舌外交 すなわち、フセイン=マクマホン協定とバルフォア宣言。 二番目の問いは、第二次世界大戦前から行われていた ホロコーストによって、国際的世論がユダヤ人側に傾いていたこと。 ものすごく簡単にまとめると、それが答えになるでしょう。 もちろん、こんな単純な答えにはなりえませんけど。※今日のゴールは、最後にまとめてやることにし、先に進みました。【今日のテーマ】 トランプ米大統領が投じた問題とは?【今日のゴール】 パレスチナ問題でどのように摩擦を減らせるか?【説明】(5分) ※残りはあと40分 KP法で授業の流れ、テーマとゴールを説明。【作業1】(5分) 第一次中東戦争の原因と結果について、 プリントの空欄を埋めて理解を深める。【解説1】(10分)◎第二次世界大戦後・国連のパレスチナ分割案 ユダヤ人に有利な分割案だったため、アラブ人がこれに反発。 ユダヤ人はこの案を受け入れ、イスラエルを建国。・中東戦争の流れ この分割案が原因で第一次中東戦争が勃発し、 多くのパレスチナ難民が発生した。【問い1】(5分) パレスチナ難民が発生した中東戦争とは? 第一次だけでなく、第三次中東戦争でも難民が発生した。【問い2】(10分) イスラエルの首都移転は何が問題なのか? 新聞記事を読み、自分たちでまとめる。【学び合い】(5分) その後、ペアで情報を共有する。 (特にペアで、という指示は出さず、互いに情報を共有するようにしました。 でも、これまでの私自身のファシリテートが今一つだったのか、積極的に 共有しようという姿勢が見られない生徒もいました。)※やはりタイムオーバー.....二つのゴールまでたどり着けなかったので、その次の授業を15分使って、文を作成することでゴールにたどり着きました。(その授業では、冬休みのレポートの作成についての説明と 図書室に移動してレポートのテーマを決定する授業にシフトしました)この特集テーマの授業は、時間通り進まなかったのですが、2.5時間で、現在話題になっているパレスチナ問題が何を意味するのかをじっくり考えるよい機会になったと考えています。