カテゴリ:音楽
前回紹介しましたNo.60、けっこう残念な物だったので、改めて もう1本入手する事にしました。 今度はもう少し今時のFamousらしいデザインの物を格安で・・・ というわけで手に入れたのがこれ。 FU-150。今時のFamousとほとんど変わらない外観です。
調べた所、ボディーにはブビンガという赤味の強い木材が 使われています。もちろん合板。 画像はクリーニング直後に撮った物なので弦とサドルが ありませんが、ちゃんと付属しています(あとソフトケースと 予備弦も)。ちなみにサドルは木でした。
ヘッド。マークが入っているだけで大きく印象は変わりますね。 丸みを帯びた飾り文字がアーチ状に配置され、その下にマーク。 Famousの旧ロゴです。 現行品は横一線のFender風フォントで、マークはその上に 付けられています。 ペグはさすがに廉価品なので少々動きは渋いですが、きちんと ネジを締めて調節してやればちゃんとチューニングできます。
ラベルはまっ金々。 カマカを意識しているのでしょうか。ただの金色の紙ですが、 視覚効果は大きいです。 シリアルナンバーはありません。 このマーク、当初ろくに見てなかったので巴の太鼓だと思って いましたが改めて見ると円の中は音符ですね。デザインの 参考にはしたのかな、などと勝手に考えています。
指板。ごくオーソドックスなローズウッドですね。
エンドの { 部も切りっ放しではなく斜めに面取りされています。 フレットも綺麗に打たれエッジの処理も申し分ありません。 さすが長年楽器を作っているメーカーです。 ナットは
ブリッジ。ここもローズウッドが使われているかと思いきや、別の木材ですね。 ボディーと一緒に塗装されているのですが、弦をはめ込む側が少し 剥離しちゃってます。弦の張力によるものですが、こういった場合 注意すべき点が。 一つはブリッジの剥離。ボディーと隙間ができると、いずれ弦の力で ブリッジがふっ飛びます。ネジ留めしてあればそういった問題は 起きにくいですが、皆無ではありません。 もう一つは表板のトップ落ち。 聞きなれない言葉ですね、トップ落ちとは何なのかというと。 表板はとても薄い上サウンドホールがある為、強い力で引っ張ら れると多かれ少なかれ変形します。材が弱いと特に顕著に現れ、 ブリッジからエンド側は膨らみサウンドホール側はへこみます (右横から見ると~な感じ)。当然ブリッジも前傾し、ピッチも狂います。 このウクレレも定規を当てるとサウンドホールに向かってへこみが 出ていました。これを矯正するには裏側に力木を貼り付け強化する 必要があります。 力木の本数は多いほど強くなりますが、その分表板の振動を妨げ、 音が小さくなってしまいます。 あれこれ考えた結果、表板のど真ん中にサウンドホール近くの 力木からボディーエンドにかけて5ミリ角のマホガニー材を1本、 貼り付けることにしました。1本なので完全に直りはしないでしょうが、 無いよりはずっとましです。 ・・・と。言葉で書くと簡単ですが、分解せずに内部に手を加えるのは 結構難しいです。なにせサウンドホールに手が入りません。 鏡を入れてタイトボンドを塗った角材をペタッと貼り付けある程度 乾いた所でクランプで固定し・・・すべて手さぐりでの作業です。 分かり難いですが、鏡に映った赤い線が補強した力木です。 貼り付ける前にテコの原理で表板を持ち上げたので ちょっと塗装が浮いてしまいましたがまあ気にしない方向で。 これでこのウクレレのリペアは終わりです。比較的新しい物なので 力木の剥離もなく、外側の傷みも大きな物は無かったのでこれ以外は クリーニングだけで済みました。
修理も終ったので弦を張ります って、既に上の画像でちらほら写っていますが。 KALAの赤ナイロン巻き弦セットを張ってみました。2・3弦が 巻き弦になっています。 1・4弦に比べて濁った感じで横筋が見えますね。 弾いてみた印象としては、1・4弦は普通のナイロン弦なのですが 、巻き弦は明らかに伸びが長いです。「ポォ~~ン・・・」という、 Low-Gの金属巻き弦に近い響きです。 オールナイロンの巻き弦というのは面白くはあるのですが、 通常弦とのサスティーン差が大きく、トータルバランスがとれて ないような気がしました。スケールの短いソプラノだから尚更そう 感じるんでしょうね。テナークラスだと違和感解消されるのかな・・・。 (伏線)
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最終更新日
2016.03.25 17:43:57
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