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カテゴリ:今宵、若様は恋におちる 全38話
春闺梦里人 Romance of a Twin Flower 第30話「残酷な事実」 山草採りに出かけた季曼(キマン)は雷雨に見舞われ、転んで動けなくなった。 そこへ思いがけず寧鈺軒(ネイギョクケン)が駆けつける。 「なぜ私を避けるんだ?!」 「私のことは忘れて…」 季曼は居たたまれなくなって去ろうとしたが、寧鈺軒は訳が分からず引き下がれない。 「無理だ!今生で私の心にはそなただけ…私を信じてくれ」 すると季曼はついに理由を明かした。 「私の本当の父は蔡聞正(サイブンセイ)なの」 実は聶桑楡(ニェサンユー)と季曼は蔡聞正の双子の娘で、生まれてすぐ別々に引き取られたという。 確かに2人が双子なら間違って入れ替わった説明がつく。 寧鈺軒は激しい衝撃を受け、もはや季曼を追いかける気力も失い、そのまま動けなくなった。 寧鈺軒が目を覚ますと県衙に戻っていた。 鬼白(キハク)の話では寧鈺軒は2日も昏睡していたという。 すると寧鈺軒は鬼白に季曼が蔡聞正の娘だと明かし、季曼に関わる物を全て片付けるよう命じた。 その夜、千怜雪(センレイセツ)は県衙に戻ってこない季曼を心配し、店まで迎えに来た。 「大夫人、もしかして表哥と喧嘩した?私には何も話してくれないの?」 季曼は海坊を去る前に仕事を片付けたいと話し、千怜雪にも自分が聶桑楡ではないことを明かした。 「私は帰海一刀(キカイイットウ)の娘なの、寧鈺軒とは夫婦じゃないと分かった でも誥命(コクメイ)夫人の身分が妨げになって言えなかったの、機を見て季曼に戻るわ」 千怜雪は狐につままれたような顔をしていたが、それでも従兄にとって季曼の代わりはいないと訴える。 しかし夫婦にどんな美しい思い出があろうと、季曼は二度とあの頃には戻れないと分かっていた。 「私が誰であろうと私たちは最高の仲間よ、今までも、これからもね…」 皇帝が皇商大会のため海坊に出かけることになった。 聶向遠(ニェキョウエン)は街の守りを固めるため、急ぎ海坊へ向かうと決める。 一方、転運使(テンウンシ)に任命された凌剣星(リョウケンセイ)は海坊への道中にいた。 侍衛の阿正(アセイ)はすでに大半の商人と話をつけていたが、生産から販売まで担う皓雪堂(コウセツドウ)には手が出せないという。 しかし凌剣星にはある有力な駒があった。 季曼は鬼白を店に呼んで寧鈺軒の様子を聞いた。 「正直に申します、昨夜は心の病がぶり返し、氷水に一時、浸かっていました …でもなぜ救ったことを内緒にするのですか?」 あの時、季曼は逃げるように去ったが、途中で寧鈺軒が心配になって引き返し、雨の中で倒れている寧鈺軒を救った。 「私たちは会わない方がいい、それが2人にとって最善の道なの」 そんなある日、皓雪堂の水亦清(スイイーチン)を訪ねて都から銭(セン)公子がやって来た。 しかし水亦清は公子の甘い言葉が全て芝居だと分かっている。 「あなたに清清と呼ばれると吐き気がするの…帰って」 凌剣星は海坊に到着すると早速、寧鈺軒夫妻を食事に招いた。 しかし聶桑楡の姿はない。 寧鈺軒は仕事で忙しいとごまかしたが、凌剣星は阿正の報告通り2人が不仲だと怪しみ、県衙を訪ねて挨拶したいという。 「陛下からの命なのでね…」 寧鈺軒は仕方なく凌剣星を県衙に案内した。 すると鬼白から知らせを聞いた季曼が駆けつけ、仲睦まじいふりをしてくれる。 当てが外れた凌剣星は引き上げたが、鬼白が夫人を呼びに行ったと気づいていた。 「阿生、聶桑楡を見張り、不仲の程度を探れ」 「はい、如月(ジョゲツ)郡主がもうすぐ到着します」 一方、季曼はほとぼりがさめるまで県衙で時間を潰した。 やがて日が暮れる頃、独りで屋敷を出たが、その姿を寧鈺軒は物陰から寂しそうに見ていた。 皇商大会には当地の商人の他に各地から商人が招かれた。 多くの商人たちが集る中、最後に参加者の1人である如月郡主が到着する。 すると輿から現れたのは都へ護送されたはずの温婉(オンエン)だった。 凌剣星は他人の空似に過ぎないと一蹴、檀(タン)王の姪である如月郡主に無礼があれば檀王や皇帝の怒りを買うと釘を刺す。 こうして船舶司の設立と皇商大会の開始が宣言されたが、千怜雪は郡主となって戻ってきた温婉に怒り心頭だった。 開会の儀が終わると千怜雪が温婉を引き留めた。 「罪人のくせに…とぼけないで!」 如月はあくまで人違いだとしらばくれたが、侍女が無礼な千怜雪を捕えろと命じてしまう。 驚いた季曼は咄嗟に千怜雪をかばい、天に背く行いはいずれ皇帝の耳に届くと警告した。 「私に忠告できる立場なの?…誰か、この者を捕らえて」 しかし慌てて凌剣星が止めた。 誥命(コクメイ)夫人の寧夫人に下手に手を出せば大事になる。 すると如月は寧夫人がどうやら自分を気に入らないようだと牽制し、大人しく引き下がった。 「寧大人、寧夫人…失礼するわ」 温婉が郡主となって舞い戻ってきた。 どんな手を使って高貴な身分になったのかは分からないが、どうやら檀王が関わっているらしい。 しかし季曼は仲間たちと協力して温婉を必ず打ち負かすと決意、海坊の出航を延ばしてもらうと決めた。 一方、如月は凌剣星と合流、今日は聶桑楡の悔しそうな顔を見て胸がすく思いだという。 つづく ≡≡≡ ⊂⌒~⊃。Д。)⊃ ズゴーッ!いーにゃんの再来 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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