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カテゴリ:読書、映画
借金の底なし沼で知ったお金の味/金森 重樹 (著)
本書の著者である金森氏は25歳のとき、商品先物業者に嵌められて、多額の借金を背負わされてしまう。当初数千万円だった借金は、高金利と遅延損害金によって1億2千万円まで膨らむ。 投機的行為による借金だから自己破産しても借金は帳消しにならない。 出口の見えない壮絶な借金地獄から、著者はどのようにして生還したのか。その過程を綴ったのが本書「お金の味」である。 借金返済に苦しむ中、貸主から契約書を公正証書にすることと、貸主の知り合いが経営する不動産会社への就職を求められる。要するに逃げないよう檻に入れて鎖でつないでおくということだ。 この就職先の会社で、金森氏は株式公開の仕事に就き、会計や経営に関する知識を得る。(ここで語られる不動産業界に関する考察も興味深い) さらには登録申請のための報告書の作成業務を行う過程でマーケティングにも興味を持つ。 サラリーマン生活を3年で切り上げた著者は、会社員時代に取った行政書士の資格とマーケティングの知識を駆使して、平均年収300万円と言われる行政書士業界で年商1億円超えを達成する。 そこで得た資金を種銭にして、収益用のマンションを取得し、年間家賃収入が数千万円になるまで資産を拡大する。 この辺の話については、かいつまんだ話のみで多くは語られていない。それは金森氏の他の著作を読めということなのだろう。 借金の商事消滅時効が迫った平成16年3月のある朝、1億2700万円の返済を求める内容証明郵便が届く。 さらに貸主は裁判所に貸金請求事件を提起し全額返済を迫るが、金森氏は元本部分の5400万円を即金で支払うことを提案し、和解に持ちこむことに成功する。借金地獄から生還を果たした瞬間である。 それほどボリュームはなく、すぐに読み終えてしまえる本だが、「人生、乗り越えられない壁はありませんが、乗り越えたくない壁は無数にあるものです」、「借金が人生の師」などと語る著者の言葉は、すべてが重い。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.03.10 01:03:01
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