稽古場を移る。
先日、アトリエ公演をここへ観にきたときには、ちいさいながらも劇場然としていたこの場所は、黒布一枚はがせば、演劇部の部室を思わせる歴史のつまった部屋だった。
その変貌っぷりは、まさに演劇の魅力そのものにも思えた。

５行のセリフに３０分もかけ、空気を孕むことに全集中する。
うってかわって、視覚寄りのつくりにシフト。
体のまずさが露呈してきたようで少々焦る。
（稽古場の側面は鏡になっているが、演技中は自分の姿をたしかめているいとまは無い）
聴覚のほうも、拡散せずに研ぎすました声とやらでどこまで表現できているのか、みずからフィードバックするもままならず、いやまったく半径１メートルは闇のようだよ。

しかし演出家席には確かな光がともっているようで、私はそれで照りかえる自分の姿をみているのだ。

ちかごろは、登場人物にたしかな愛や恋慕を感じますもので、しだいにお話の中に融け合ってきたかなと思うときも少しある。

(izumi)