国交省 建築士の資格、厳格に
日経新聞に拠れば、耐震強度偽装問題受け、再発防止策を検討している国土交通省は、26日、「意匠」、「構造」、「設備」の3つの専門分野別の導入など、建築士制度見直しの素案をまとめたという。 現在の一級建築士には試験を受けさせ、合格者のみを新資格に移行させるという。 しかし、実際に設計をやっていない、国土交通省の役人が問題を作成している、現在の一級建築士試験の制度をそのままにしては、建築基準に関わる法律主体の試験が行われることになり、「構造(structure)」、「設備(mechanism, electricity)」についてはいざしらず、「意匠(design)」については、デザイン能力を試す試験にならないのではないかと危惧される。 もともと、現在の一級建築士試験のままだと、試験の為の試験勉強が要求され、実際の、建築のデザイン能力とかけ離れた能力が試されていた。従って、建築デザインの能力が熟達したベテランや手の動く旧一級建築士は合格しにくくなり、試験勉強をしている最中の若手には、合格しやすいような内容になってしまう可能性がある。 「意匠(design)」に要求されるのは、昔からのしがらみにとらわれた現行法律への適合性よりは、しがらみにとらわれないフレッシュな発想とデザイン能力、一方で、法律に書いていないことを判断する常識的な判断力、人間環境系におけるデザイナー倫理、歴史的・伝統的な技術を見る眼力、二次元と三次元(あるいは四次元)での空間把握と表現能力などであり、もともと、建築基準に関する法体系を維持する存在である旧一級建築士とかけ離れていたのではないだろうか。 「意匠(design)」については、いっそのこと、現行一級建築士制度にとらわれず一級建築士そのものをやめてしまって、フランスやイタリアなどヨーロッパのデザイン大国などでみられるような、建築家制度を取り込むことを考えたらどうなのであろうか。