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カテゴリ:児童福祉論
【子どもの成長・発達への影響】
少子化は子ども達の心身の健やかな成長に対しても影響がある。子どもの数の減少により子ども同士、特に異年齢の子どもとの交流の機会が減少し、子ども相互の間で揉まれることが少なくなる。このことは、我慢、思いやり、感謝、友情などを学ぶ機会が減少し、人間として最も大切な心の発達が阻害される。さらに親子関係の変化、特に親や周辺の過保護、過剰期待によるプレッシャーなどにより、社会性や自主性の発達も阻害される。これらはすでに「キレる子ども達」として社会問題にもなっている。最近の幼稚園、小学校では子ども達が変わってきたと言われ、変わっている子どもに共通する特徴は「著しい孤独性」であるという。それは必ずしも単純に少子化の結果とは言えず、むしろ少子化を進行させる社会的要因を共通の背景としている可能性もあるが、いずれにせよこのような子ども達が大人になった場合、さらに次の世代に様々な影響を与える筈であり、少子化の影響は子どもの数の問題だけではなく、世代を超えて子どもの質も変えていくことに注目しなければならない。 【発達心理学的見地】 教育心理、発達心理の観点から少子社会をみると、子どもにとって異年齢、異世代により構成される集団の社会を経験する場が少なくなってきていることが問題である。兄弟姉妹の数が平均1.38人であることは家庭において縦の並びによる遊び、地域における異年齢の集団遊びの機会が激減していることを意味している。遊びを通して育まれるべき知的、身体運動的、社会的行動の発達や情緒の安定性が抑制されている。心身のバランスのとれた発達が妨げられ、困難な場面に直面して自己をコントロール出来ず、いわゆる「キレる子ども」の出現につながっている可能性がある。 少子化は縦の人間関係でも親子、特に母子の関係で特異な状況を醸成する。子どもが少なくなると親はかなり早期から知的環境の準備に走る。子どもの周辺に、テレビ、ファミコン、絵本、知的玩具など、子どもにとっての知的文化財が豊かになる。そのこと自体は必ずしも悪い訳ではなく、子どものIQ(知能指数)を高めるのに役立つかも知れない。問題は人間同士の接触や摩擦がすくなくなりEQ(情動指数)が低下することである。望ましい人格とはIQとEQがバランスよく発達することである。少子社会は知育偏重社会に陥ることを警戒すべきである。 【教育への影響】 子どもの教育に与える少子化の影響も大きい。具体的には、1子ども同士の切磋琢磨の機会が減少し、2親の子どもへの過保護過干渉が増強し、3学校や地域での一定規模の集団活動の成立がしにくく、4良い意味での競争心が育たない、などが挙げられる。 少子化は学級定員を見直す絶好の機会である。これまで小・中学校の学級定員が40人であったが、40人は教育の場でなく管理の場である。少子化は学級定員の減少を図る絶好の機会であり、幼稚園は15人、小学校は25人、中学校は20人にすれば触れ合いの教育が促進され、一人一人を生かした個性尊重の教育が可能になり、ひいては将来の青少年の問題行動は少なくなり、極端な「キレる子ども」の出現もなくなるであろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.04.14 21:25:20
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