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カテゴリ:社会教育関連
現代社会と社会教育
2、生涯学習とボランティア活動について ボランティア活動は近年自己実現への欲求の高まりなどを背景に勝つ同分野や参加者層の拡大が進んでいる 生涯学習分野では公民館生涯学習センター図書館博物館等の施設でのボランティア活動、学究やサークルでのG買う週指導・助言、福祉施設での趣味や教養分野の指導・助言各種生涯スポーツのコーチ、学習成果を生かしての地域活動など様々なボランティア活動が行われている。また、ボランティア活動には個人的にやるもの、地域でグループやサークルなをつくって行うもの、より大きな団体の一員として組織的に行うものなど様々な形での参加がみられる。近年、活発な活動で注目されるNPOの多くは何らかの形でボランティア活動を主な活動の一部に位置づけている ボランティア活動は、生活上の問題を抱えている人々のため、あるいは地域の生活環境をよりよくするため、あるいは社会的問題そのものの解決のために対価を求めず自ら進んで参加する公益的活動をいう 公益性、無償性、地域性、奉仕性、先駆性といった特徴を含むものである 現在は奉仕性を重視した狭義の捉え方から自主性を重視した広義の捉え方に移りつつある 1992年社会教育審議会答申では、生涯学習の一環としてのボランティア活動を強調する次の方向性が示された 日本ではボランティア活動と言えばいわゆる社会福祉活動としてとらえる傾向があったがボランティア活動を広義にとらえていく必要がある ボランティア活動をおこなうためには必要な知識や技術を習得する必要がある ボランティア活動の基礎にはこうした学習の蓄積がある ボランティア活動によって学習の成果を社会に還元することができる ボランティア活動は一面では様々な相互のふれあいの中で教えかつマナbうという相互学習の機能をもっている。ボランティア活動そのものが自己開発、自己実現を引き出す学習である 生涯学習としてのボランティア活動の一層の拡充を図るためにはそれをごく日常的で楽しい活動としてとらえるべきである 生涯学習ボランティアの実際の活動は多岐にわたるが、内容の面から区分すれば次のようになる 1、学習支援活動 講座の企画・運営、学習指導・相談、学習サークルリーダー 2、地域福祉活動 対面朗読、施設訪問、遊び仲間・相談 3、地域文化活動 各種文化・スポーツ活動の助言・指導、伝統文化の継承 4、市民交流活動 子ども会・PTA・自治会活動支援、地区のまつり 5、国際交流活動 異文化理解、交流活動、学習援助、相談 ボランティア活動は人と人との関わり方の一つの型をもっている 対等の関係が基本となる なんらかの手助けを必要とする人々との関係も一方的に与える立場と受ける立場の関係ではなく、対等の関係であり、相手の意思を尊重することが基本となる また行政・公的施設が期待する一定の役割をになうだけの下請けボランティアではなく、必要な発言・提案を行う事により対等な関係を目指す事が重要である ボランティア活動の運営は組織上の自立が課題となる 現実的問題として、交通費、昼食代、活動保険料等の費用をだれが負担すべきかということがある ボランティアの善意の行為に対して、受益側の集団・組織・施設が活動の基礎経費を一部負担することもある。 双方にとってバランスのとれた活動であることが望まれる 1 生涯学習とボランティア活動の関連 -------------------------------------------------------------------------------- 生涯学習とボランティア活動の関連は、次の三つの視点からとらえることができる。 1) ボランティア活動そのものが自己開発、自己実現につながる学習の場であるという視点 2) ボランティア活動を行うために必要な知識・技術を習得するための学習活動があり、学習成果を生かし、深める実践としてボランティア活動があるという視点 3) 人々の学習活動を支援するボランティア活動によって、生涯学習の振興が一層図られるという視点 文部省では生涯学習の振興の観点からボランティア活動の支援・推進を図るため、青少年、女性、高齢者、勤労者等あらゆる層の人々を対象に、各種の施策を実施している。 (1) 学校におけるボランティア教育の推進 学校教育では、小・中・高等学校を通じ、主としてクラブ活動や勤労生産・奉仕的行事の中で、地域の清掃、高齢者福祉施設での奉仕などのボランティア活動が行われている。また、学習指導要領では、道徳、社会科、家庭科でもボランティア活動が取り上げられている。このほか文部省では、児童生徒に地域の教育力を生かしつつ、ボランティア体験活動など様々な体験活動・学習機会を与える「ボランティア体験モデル推進事業」の実施、ボランティア教育の在り方等に関する研究協議会の開催、指導実践例等を掲載した指導資料の作成など各種の施策を実施している。 (2) 生涯学習ボランティア活動等の支援・推進 地域において、ボランティア活動を総合的に推進するため、都道府県の行う「生涯学習ボランティア活動総合推進事業」に助成措置を行っており、学習活動の成果や培ってきた能力を地域社会で生かすことのできる環境を整備している。 また、ボランティア活動の推進方策を研究協議する全国生涯学習ボランティア活動推進会議の開催や、海外ボランティア活動の現状調査を実施している。さらに、国立青年の家では、ボランティア活動に積極的に参加できる機会や場の整備等を図り、ボランティア活動に対する関心を高めるため、指導者の養成や研究協議会を開催する青少年ボランティア育成事業を実施している。 そのほか、青少年等の理工系分野に対する興味・関心を喚起するため、大学、高等専門学校の教員等の希望者をサイエンス・ボランティアとして登録した名簿を作成し、博物館等へ提供している。 平成8年度からは新たに、ボランティア情報の収集・提供の在り方やボランティア活動に関する相談等を行うボランティア・コーディネーター養成・研修プログラムの研究開発を行うほか、防災・ボランティアハンドブックを作成して国立の大学及び高等専門学校に配布することとしている。 (3) ボランティア活動と評価 平成4年の生涯学習審議会答申は、学校外のボランティア活動の経験や成果を学校の教育指導に生かすこと、ボランティア活動の経験やその成果を、資格要件として評価したり、入学試験や官公庁・企業等の採用時における評価の観点の一つとするなどを提言している。 文部省では、答申を受けて次のような取組を推進している。 (ア) 大学の入学者選抜については、高等学校から大学に提出される調査書に、ボランティア活動などの諸活動を記入することとし、その適切な評価について配慮を求めている。 (イ) 高等学校の入学者選抜に関して、推薦入学や調査書において、ボランティア活動等が適切に評価されるよう、関係者に対して通知を行った。 (ウ) 阪神・淡路大震災に多くの学生がボランティアとして活躍したことから、全国の大学、短期大学、高等専門学校に対し、学生が被災地域におけるボランティア活動に安心して参加できるように、修学上の配慮などボランティアに参加しやすい条件づくり等について協力を要請した。 第4節 学んだ成果を生かす 2 ボランティア活動への推進 -------------------------------------------------------------------------------- 第2章でも述べたように、総理府の「生涯学習とボランティア活動に関する世論調査」(平成5年)では学習によって身に付けた経験や知識・技能の生かし方として、「世の中や人のために」や「地域での活動に」、あるいは「他の人の学習やスポーツ、文化活動などの指導に」を挙げる人が少なからず存在する。 学習の成果や過去の学習の成果として身に付けている知識や技術などを生かす上で、ボランティア活動は極めて意義深く、その意味からも人々のボランティア活動を支援・推進する取組が今後一層推進されることが必要であると考えられる。しかしながら、第2章で述べているとおり、ボランティア活動についての関心は、阪神・淡路大震災を契機に一段と高まりつつあるものの、実際の活動には必ずしも結び付いていない状況にある。 また、上記調査においては、ボランティア活動に対する国や都道府県への要望として、「ボランティア活動に関するいろいろな情報をもっと提供する」34.1%、「ボランティア活動を学校教育において重視する」31.3%、「ボランティアの養成・研修の機会を充実させる」25.0%、「ボランティア活動を希望する人に対して情報提供・相談を行うボランティアセンターを整備する」24.2%、「ボランティア活動に対する社会的評価を促進する」22.7%、「ボランティア団体・グループに対して経済的な支援を行う」21.9%のほか、様々な意見が出されている( 図-3-10 )。 ボランティア活動に対する行政側の支援については、意識啓発から、情報の提供、研修、評価、団体への支援等にわたる幅広い取組が期待されていることがうかがわれる また、最近npo(非営利団体)に対する法人格の付与など、ボランティア活動等を行う市民活動団体を支援するための法的措置をめぐる議論が高まっている。 人々がよりボランティア活動に参加しやすい環境を整備していくために、行政としても、生涯学習関連施設におけるボランティアの受入れの一層の推進など、活動の場の積極的な開発を行うとともに、ボランティアコーディネーターの養成、情報提供システムの整備、ボランティアグループや団体の支援などに積極的に取り組む必要がある。 なお、ボランティア活動に対する評価に関し、先の総理府調査では、「何らかの形で」あるいは「積極的に」社会的評価を行ってもよいとの意見が全体の約7割弱ある一方で、「社会的評価を行うべきではない」という意見も21.2%あった( 図-3-11 )。このうち、「社会的評価を行うべきではない」と回答した人にその理由を尋ねたところ、「ボランティア活動は、自分自身が充実感や満足感を得られればそれでよく、他人や社会からの評価を求めるものではないから」、「そもそも、ボランティア活動というのは、無償で行うものであり、対価や見返りを求めるものではないから」との回答が主なものであった。評価の面をとってもボランティアの本質にかかわる点から、意見が分かれていることが見受けられる。ボランティア活動を一層支援し、発展させるためにも、今後ともその多様な評価の在り方を検討していく必要がある。 また、国や地方公共団体がボランティア活動の振興を図ろうとする際にも、ボランティア活動の基本的理念とされる自発性や無償性、公共性等と十分調和を図りながら施策を進めることが大切であろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.04.16 13:08:34
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